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親のこころ
「娘を幼いころから大切に育ててきたので、心が折れそうです。」
30代の傍若無人な娘に手を焼く70代の男性が、読売新聞の『人生案内』に相談を寄せていた。
人生案内には、主に人間関係の相談が多い。中でも家族に関する相談が圧倒的だ。つまり、相談内容の登場人物は最低でも2人いるのだが、一方の意見しか聞けないというもどかしさがある。
今回の相談タイトルは「家出て行かず どなり続ける娘」。
娘は結婚して1歳半の子供がいるが、子供とともに親元で暮らしているという。夫は単身赴任スタイルで、週末には妻子のいる家を訪れる。
そんな生活を送る娘は
何事も自分の考えが第一で親の意見を聞かない
反対すると激怒して長時間どなり続ける
結婚前、長くうつ病で苦しんでいた
という状態。そして娘は親に対し「こうなったのは育て方が悪い。2人とも毒親」と言うらしい。
なんか‥‥どこかで聞いたことのあるような話だなあ。
そうそう。まるで我が家のことのようだ。
まさかお父さんが投稿したわけじゃないよね?と思ったけど、この相談者の娘は結婚しているから違う。
だけど、我が家でもほとんど同じことが起こったと思う。
うつになった姉は、自分のことを「傍若無人だった」と言っているし、父に、朝方まで暴言を吐き続けたこともあったらしい。
話しは戻って、この相談者は「親」。つまり相談内容には、「親のこころ」らしき訴えが散りばめられている。
激怒し長時間どなり続ける娘に「私たちは我慢させられます」
鬱で苦しむ娘に、「私と妻は腫れ物に触るように接してきました」
「娘を幼い頃から大切に育ててきたので、心が折れそうです」
で、結局のところ「どうしたら出て行きますか」と言っている。
‥‥娘は悲しいだろうな。
と思った。
自分たち(親)は、苦しい、つらい、被害者だ。
と、娘を悪者に仕立て上げているようにしか聞こえない。
だから娘は、傍若無人な振る舞いをしてしまうんだろうな。とも。
親としては、確かに娘を大切に育ててきた感覚があるのだろう。
暴力をふるったわけでもない、食事を与えなかったわけでもない、不自由のない生活を与えて、人並みに育てたはずだった。
もちろん、娘が不幸になればいいなんて、1ミリも思ってない。
だけど相談文を読む限り、娘の気持ちを知ろうとか、娘の声を聞こうとか、そういった、「娘に向き合う姿勢」が感じられない。
娘も娘で一方的に怒鳴っているかもしれないけど、親は親で、「私たちは我慢しています」「私たちは腫れ物に触るように大切にしました」と、一方的に自分たちの主張を繰り返すばかりだ。
たぶんこの家庭も、我が家同様、まったく噛み合っていないのだと思う。
娘さんは、今も専門家によるケアが必要だと思われます。(中略)娘さんもおそらく、自身の気持ちの浮き沈みに苦しんでいるはずです。自分ではもはやどうにもならないのです。
親が「私たちは悪くない」と主張してくるから、娘は「悪いのは親だ!」と言わずにはいられない。
だけど本当は、ただただ気持ちをわかってほしい。
親として正しい対応をしたとか、我慢してあげてるとか、そういうことじゃなくて、気持ちに触れようとしてほしい。
そこをわかってもらえないフラストレーションが、どなり続けるという行動になってしまうのだと思う。
最相葉月さんが言うように、「自分ではもはやどうにもならない」のだ。
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