【連載】家族会議『1+1=2のように単純じゃない』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議18回目#3|1+1=2のように単純じゃない
――17回目の家族会議で、上から目線の態度を指摘されてきた父は「自分をぶっ壊す」と宣言した。
そしてイエスマンを始め、それどころか母を持ち上げ、自分はへりくだるという態度に徹した。
イエスとはまるで思っておらず、母を持ち上げるようでいてバカにしているようにすら見える態度に、わたしは「気持ちのぶつかり合いがしたい」と伝えた。
偽善的で、表面的な付き合いをするなら、家族会議なんてやる意味がないからだ。
その中でのわたしの発言は、父が怒り心頭の内容だったわけだけど、父は「娘の暴言に動じない父親」を演じていた。
だけど本当は、怒りが湧いていたのだった。(昨日までの記事の内容)
わたし:
そこで怒りを止めて、変化がないぐらいだったら、嫌な思いしても反論された方がまだマシって感じかな。
(他人に言われるのと娘に言われるのと)感じ方違うっていうけど、同じなわけだよね。他の人に言われても娘に言われても、ああいうことを言われたら怒る。怒りが湧いてくるのがお父さん。
だけど理性が働いて、「娘に言われてるんだから」って自分の気持ちを落ち着かせる。みたいなことをやったってことだと思うんだけど、なんか最初に湧いてくるのは怒りで、湧いてきちゃうんだもん。
娘が相手であろうと、言われたらむかつくのがお父さんっていうところを、まず認めないと。それが自分なんだっていうところを。
父:
いや。ちょっと違う。
わたし:
何が違う?
父:
ここの前にいるのが娘なのと、他人じゃもう、全然違うよ。
わたし:
もちろんそうだよ。実際にはわたしにああいうふうに言われて、ただ怒ってるだけだったらただの子供なんだけど、でもそれがお父さんだっていうことをまず認めなきゃいけないってこと。お父さんが自分で、「自分ってそうなんだ」ってことをさ。
相手が娘でも怒りが湧いちゃうんだなっていうことを、一旦受け入れないと、駄目ってこと。
父:
いやいやいや違う違う。なんか怒りの度合いっていうか、それが何か同等に扱ってるみたいで、そうじゃないよと。
わたし:
なるほどね。うん。
父:
娘から言われたらムカッとするけど、まあこんなもんかなって感じで、他人から言われたらもう即座に反論するわ。
――微妙な違いをまるっとまとめられたら嫌だという父の気持ちもわかる。
けど父は普段、わたしたちの気持ちや言葉は「取るに足らないこと」としてぞんざいに扱う。細かな気持ちを無視して、「そこにそんなこだわる?」とめんどくさそうにするのが父なのだ。
でも自分のこととなると違う。心外だと思うことは、1ミリの誤差も許せない。
父に気づいて欲しいのは、どちらかといえばそういうところだ。
そもそも論点は、相手によって感じ方が違うことではなく「怒りが湧いた」ことであって、その気持ちを認識し、なぜ怒りが湧いたのか分析して欲しいのだ。
わたし:
うんうんそれはそれでわかった。わかったけど湧いてきた。怒りも一応沸いたわけだから
父:
小さな怒りね
わたし:
小さな怒りね。それが正直。人によって違うのもあると思うよ。相手がお父さんのことも考えずに、それこそ上から目線で言ってくるようなことであれば、もう内容どうこうじゃなく怒る。
それは当然だと思うし、わたしがさ、お父さんとかお母さんのことを考えて言ってるっていうのが多少なりともわかってると思うから、その気持ちが感じられば、他の人に言われるのと同等の怒りではないだろうなっていうのはわかる。
わかるけど、反論は反論で怒りは怒りで、反発心は反発心であるなら、一旦それ出してっていうこと。
父:
じゃあこれから思ったら、小さくても一応は言いますからね。
わたし:
多分、出してく練習も必要っていうか、ちっちゃくても。
おそらくそういうのをさ、お父さんとお母さんの間で今までずっと押さえてきた。そういうのがずっと、わだかまりになって2人の中にあるわけじゃん。で、ことあるごとに「あのときのあれが」って言う。延々と。
そういうんじゃなくって、あのときのあれは消えないけど、それを笑い話にするには、わだかまりを残さないってことだよね、とにかく。
そのときに言いたいことも言わないで、後からぐちぐち言うんだったら、今言っちゃって、わだかまりを残さない。
父:
こうやって言い合っててさ
母:
今?
父:
これからも。今までのやつも言うだろうし。それ言ってて、わだかまりが解消‥‥、となりますか?
母:
なりますか?
父:
なると思いますか?
母:
なるように話をしていきたいなと思ってる。
父:
なるようにしたいと。
母:
うん。
父:
うんうんうんうんうん‥‥。なるようにしたいね‥‥。
――「1+1=2」みたいな、父はそんなことを期待しているのだろう。人間関係に。
だけど人の心はそんなに単純じゃない。
― 今日はここまで ―
母のように、「なるように話をしていきたい」という発想が父にない。
「これをやればこうなる」くらい単純なことじゃないと、やってくれない。
足してみたり引いてみたり、かけたり割ったり。そんなことをして結果10になるみたいな、そんな理想をもっているのがわたしたちだから、どこまでいっても噛み合わない。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!