【連載】家族会議『むなしさと無価値感と』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議21回目#1|むなしさと無価値感と
――2020年2月24日。家族会議21回目。
わたし:
今日はお姉ちゃんの話、しようかなと思って。昨日もちょっと話したと思うけど、小さい頃、虚しさを感じてたっていうさ。
その話をした次の日の朝も、すごい気持ちが沈んで、ちょっと鬱っぽくなって会社行くのがつらかったって。
で、「やっぱりこれをちゃんと見ていかないといけないな」って、「自分のチャイルドケアをしなきゃいけないなと思ってる」って言ってて。いろいろ話聞いてもらって、チャイルドケアをしていきたいって。
けど、向き合うの結構きついって。思い出すと。
わたしといろいろ話したときに、リアルにその当時の感情を思い出しちゃって、つらくなっちゃったって言ってた。
でもやっていかないと、(仕事)辞めた後に、自分に自信が持てないというか、無価値感。無価値な
――当時姉は、仕事を辞めるかどうかで迷っていた。仕事内容の問題と言うより、環境の問題で。(結局続けているのだけど)
母:
自分がね。
わたし:
うん。自分に価値がないっていうのが子供のときからあって、無価値だって思ってるままだと、(仕事)辞めた後にやっていけなくなるなって。
価値で言ったら今の会社って、必要とされてるし、カウンセラーとしてみんなにも認められてて、患者さんにも認められてて、価値っていう意味で言えば、すごい価値を感じられてる。
だから、そういう意味では「この場を失うのが怖い」っていう、そういう思いもあるって。
辞めたいは辞めたくて、辞めるの辞めたいとかではないんだけど、そういう気持ちがあるから、辞めた後に、本当に無価値なんだって思っちゃうんじゃないかって。
母:
仕事もなくなって
わたし:
そうそう。そう思っちゃったら怖いっていうか。
だからこの辺(の感情)をちゃんと見ていって、(無価値感を)治していきたいって、そんな話をしてて。
で、その虚しいって感じてたのが、鹿島に住んでた4,5歳の頃。その頃には虚しいって感じてた記憶があるって言ってたのね。
それで思ったんだけど、ここ最近ずっと家族会議してて、お父さんとかお母さんの話を聞いて、そこから考えると、やっぱ鹿島っていろんな意味でターニングポイントなんだなって。お父さんにとってもお母さんにとっても、もちろんそうだと思うんだけど。
――鹿島に住んでいたころ(姉が4,5歳だったころ)、父は仕事が上手くいっていなくて、常にストレスをためていた。
わたし:
あと、お母さん「(お父さんと)ずっと気持ちが通じ合いたかった」って言ってたじゃん?
それって、虚しいよね?
母:
そうだね。
わたし:
気持ちが通じ合わないって思うのって、虚しいよね。
お姉ちゃんは、そういうお母さんの虚しさを感じ取っていて、その影響を受けて、「虚しい」みたいになってたっていうこともあるんじゃないかな?って思って。
それをお姉ちゃんに言ったら、「絶対そうだってスパッとは思わないけど、なんかそうかもって気がする」って。「感じ取り切れてないけど、そこ(の感情)見てった方がいい気がする」って。
今までは、お父さんやお母さんからの愛情不足で虚しいって感じてたっていうことばっかり考えてた。だけど、お母さんが虚しい。で、お父さん忙しい。なんかその虚しさを受けてたっていう‥‥。
それって結局は、愛情を注がれてないのと同じことではあると思うけど、自分が愛情を注がれなくて寂しいとか悲しいとか、それ以前に、何か感じ取ってたのかもって。そこを見ていきたいなって。
母:
それをどうしたらいいんだろうってなってたってことね。
わたし:
うん。
どうしたらいいかっていったら、チャイルドケアしていくしかないってことなんだけど。どういうふうにやっていったらいいかなって考えたときに、やっぱ、お父さんとかお母さんと話すっていうのも必要なんじゃないかなと思った。って言ってて。
母:
うん。
わたし:
ちょっと話してみたくはなってるって言ってた。
あと、自分が無価値な人間だっていう話をいろいろしてた中で、恋愛依存があるって。恋愛が、自分の価値を感じるために必要なものっていう感覚が、いまだにあるって。
今付き合ってる人いるじゃん?
そういう意味(無価値感)で、失うのがとにかく怖い。あと、会えるってなるとすごい嬉しいんだけど、その次の瞬間から、「会った次の日からどうしよう」って思うんだって。
普通はさ、「会えるの楽しみ」なだけでいっぱいだよね。わくわくしてさ。で、実際会ってバイバイした後はなんか「寂しいな」って思ったりするのが普通だと思うんだけど、不安の方を感じやすい。
会うって決まったら、それが生きていくモチベーションの全てになるから、会ったあと、次いつ会えるかわからないっていう状態って、生きる意味もないぐらいの感覚。「何をモチベーションにして頑張ればいいのかわからない」くらいの感覚にななるんだって。それくらい、恋愛依存が強い。いまだにそれが消えないって。
だから、こういうのを治していかないと、この先もつらいって。そんな話をしてたんだけど。
母:
よく不安定になるっていうのは、何も解決してないとか、そのまんまだからなんでしょうよね。
わたし:
うんうん。
母:
カウンセリングできるようになったからって、それで無価値感がなくなってはいないわけだよね?
わたし:
うん。そうそう。
母:
まず仕事を失うとかの前に、今までの状態って、カウンセリングが上手になったってことだけど、それでは無価値感はなくならなかったということだよね?
わたし:
うん。
なんかそういうことではないっていうか。
母:
彼と会ったあと、「嫌われたんじゃないか」とかっていう意味ではないんだ?その次に、いつ会えるかわかんない不安みたいな。
わたし:
ああ、うんうん。
特に今の彼って、仕事もすごい忙しい人。だから次の約束ができないし、期間も毎回長い。週1とか会える人なら、毎回「次も会える」っていう安心感があるけど、次に会える保証がないぐらいの人だから余計だと思う。
でもおそらく、そうじゃなくても同じような感覚はあるんだと思うんだよね。毎日会えてたとしても「別れたらどうしよう」とか。で「別れたらどうしよう」って思うから、ありのままの自分を出せない。嫌われて、もう2度と会えなくなっちゃったら怖いから、いい人を装っちゃう。相手が求めているような人になろうって。
だから、お姉ちゃんの自然体な状態で付き合うことができないっていうか。いつも無理して、相手の反応気にして、ちょっとしたことで嫌われたんじゃないかって怖がる。
だから恋愛が全てなんだけど、恋愛でボロボロになる。そういう感じ。
前の彼も、だから無理したし、引きずったし、っていうことだと思うんだけど、「そういうのを治していかないと」って言っててさ。
で、お父さんとかお母さんと話していくことも大事だけど、結局、今までも何度も話してはきてると思うから、今までと同じことの繰り返ししても意味はないわけで。
この家族会議は、ある意味、お姉ちゃんが辞めた後に価値を感じなくなるようなことがないようにって、そういう気持ちもあって。わたしとしては。
母:
心配ではあるよね。今のままだと。
わたし:
うんうん。
母:
だいぶ変わったとは言ってるけど、今の話聞いても、やっぱりまだまだというか、厳然と変わらないものがあるってことだよね。
ずっと前から、もう何年も前から苦しんでることが、いまだにそのままあるっていうことだよね。
わたし:
わたし、この家族会議は、家族が幸せになってほしいっていう意味もあるけど、もうひとつは、お姉ちゃんが仕事辞めたあとに虚無感にならないようにって思ってて。
今、認められながらカウンセラーとしてやってる。それを辞めたあとに、「何もなくなっちゃった」って言って自信をなくしたりとかするような感じはしてたから。
その意味で、お姉ちゃんが今までやってきたことがこの家族の場で活かされてるっていうことを証明してあげることがひとつ、お姉ちゃんの自信に繋がると思うんだよね。「この5年間何だったんだろう」ってならないように。
「すごく意味はあった」っていうことを証明してあげたいっていうか。この場に今まで学んだことが活きてるって。
それは、家族会議をすることだったり、お父さんとお母さんが変わることだったり。
お姉ちゃんの学んできたものが活かされて、何か形になっているってことで、「やってきてよかったな」「頑張ってきてよかったな」「間違ってなかったな」って。そう思えるようなものを見せてあげられるようにしておきたいなって。
母:
そっか。そこまで考えてたんだね、泉は。
わたし:
うんそう。
そういう意味もあって、お父さんとお母さんが、お姉ちゃんとただ話しても同じことの繰り返しになるから。やっぱり、お姉ちゃんの話を聞けるだけの人にならなきゃいけないって。それを改めて思った。
― 今日はここまで ―
父も母も、姉を無価値だとは思っていないと思う。
だけど、無価値だと思わせてきた。
そう思わせた具体的な行動でいえば、「無視」だ。
ただこれも、あからさまな無視ではない。
正確には「尊重されなかった」ということになる。
厄介なのは、それが「無視」だと、「無価値だ」と言っているのと同じことだと、気づかないことである。
そのつもりはなくてもそうなってしまう原因は
「自分のことしか考えていない」
その1点。
そこに気づかなければ、いくら対話しても「無視」にしかならない。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!