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【連載】家族会議『上から目線の意識』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。
家族会議6日目#6|上から目線の意識
――父の上から目線について、そう感じた具体的なエピソードを話した前回の続きから。
母:
100%お父さんがデリカシーがなくて、気を遣ってなかったというわけではないよ。気を遣ってたことも思い出せばある。けどやっぱり覚えてるのは、嫌だったことを覚えてるから言ってるってことなんだけど。
父:
その嫌だったことを聞きたい。その中で、これは上から目線の態度だから嫌なんだな。こうこうこうだから嫌だったんだなっていうのを理解する。と。だからどんどん言ってください。
多分それを言えば言うほど距離感が縮まるっていうふうに感じるんですよ。
――大層立派な、歩み寄りの言葉を並べているけど…、(前回記事で)エピソードをひとつ言ったところで、「全然記憶にない」とバッサリ切り捨てたのが父だ。
そして嫌だったことをどんどん言うと、みるみる機嫌が悪くなるのが父だ。
父の言う理論に、「批判に弱い俺」が加味されていない。
「相手にとって嫌だったことを聞いて受け止めて、距離感を縮める」なんてこと、父にはできない。
それをできると思っている時点で、自分のことがまるで見えていないのだけど・・・。
母:
そう言ってもらっただけでもずいぶん違いますが。今まではそういうのを「聞きたくない」とか、「なんで覚えてんだ」とか。「そんな昔のこと」とか、「俺なんか昔のこと覚えてないよ」とか。
父:
それバカじゃねかっつって。笑
母:
聞こうとしてくださることはありがたいです。
――聞こうとするだけでも幾分マシになっているらしい。でも聞いた以上、それに応えなければならない。話した以上、応えてほしいというのが人の心情なのだから。
父はいまだに、聞いて怒り出すか、聞いて無視する。そんなことなら、最初から「聞きたくない」と言われたほうがマシかもしれないと思ったりする。
わたし:
なんかさ、ネットに書いてあるやつだと、ちょっと表面上の話だけど、上から目線について書いてある記事ね。
母:
うん
わたし:
端的にまとまってるなっていうのがあって。
上から目線の態度についてはざっくりしか書かれてないけど、態度がでかい。人にお願い事をするのに命令口調。人より自分の方が優れているとか頭がいいとか、見下す態度が上から目線に見られてしまいます。
ざっくりすぎてちょっとわかりづらいんだけどこれ。
母:
うん。
わたし:
上から目線で人に接する人はあまり良い印象ではありませんし、ほとんどは嫌われ者となってしまいます。自分では自覚がなくても気づいてないところで上から目線になってしまうことがあるので注意が必要です。って書いてあるのね。
父:
その通りだ。
わたし:
うん。だから上から目線の人って気づいてない。だからナチュラルにやるんだよね。
で、なぜ上から目線になってしまうのか。ちょっと目次だけ読むと、プライドが高く自分が正しいと思っている。あと、人に認められたい。それから、本当は自信がない。それから、今まで生きてきた環境。っていうのが上がってて。
母:
うん。
わたし:
お父さん当てはまるなってわたしは思った。あとね、上から目線に見えてしまう態度と言い方。言うね、お父さん。
まず上から目線に見える態度は、人の話をしっかりと聞かない。すぐに張り合ってくる。腕や足を組む。笑い方に癖がある。これは…鼻でフッて笑ったり、口を閉じたままニヤッとふくみ笑いをしてしまう人は、馬鹿にされていると勘違いされやすいので気をつけましょう。って書いてある。
母:
うん。
わたし:
あと上から目線に聞こえる言い方は、小馬鹿にした言い方。相手の気持ちを考慮しない言い方。断定的な言い方。自分の主張を強く言い過ぎる。相手の意見に否定的な言い方をする。頼み方が命令口調に聞こえる。聞かれてもいないのに助言などを言う。知識があることを得意げに言ってしまう。
以上です。
自分でさ、思い当たる節あった?
父:
あるある
わたし:
あるんだね?なんかさ、これも気づかないってこともあるかな?って、今読みながら思って。
父:
それね、何個かあってさ。その中の一つで、極端なんだけどね、自信がないっていうのはね、何だかわかんないけどあるんだ。要するに、自信満々なわけだ。大概。そこで突かれるとね、言い返すんだよ。ああでもねこうでもねって。押さえつけちゃうわけ。断定的な言い方で。そういう癖がある。結局そこね自信がないとこなんだわ。
自信があれば、自信があればあったでまた、上から目線になるんだろうけれど、それはどういうときかというと、余裕を持って「ん?」っていう感じになるんだよ。俺が自信あるところ言われると、どうにでも答えられる、かわせるということで。
ただ、かわせないとこ言われると、何か必要以上にわからせようとする。わかるわけないよな自分がわかんないんだから。なんか嫌な性格なんだろうね。
わたし:
そうだね。笑
――「弱い犬ほどよく吠える」という。父がそれを自覚していることは意外な一面だった。
自覚しているならば、自分の弱さと向き合い自己肯定感を高めるなり努力してほしいところ。だけどそうはいかないのがもどかしい。
妻や子供を配下に置き、従えることで気持ちを満たすほうが楽なのだろう。
- 家族会議6日目終わり -
「自信がない」というのは確かに、上から目線になってしまう理由のひとつだ。だけど、「自信がない」だけで上から目線になるわけではないと思う。そこに「優位性を保ちたい」という意識がなければ。
上から目線の人には、ベースの価値観として人の格付け意識がある。上か下か。
そもそも父は、妻よりも子供よりも、自分が上だと思っている。上だから当たり前に、上らしい態度をとる。上から目線なのではなく「上」なのだ。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!
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