そっと離れる
義母からは、そっと離れよう。
そして、義弟の体調回復に向けて、今より能動的に行動したい。
なぜ義母から離れ、義弟には近づこうとするか、その理由も書いておく。
理由は簡潔にいうと、義母は苦手で、義弟にはシンパシーを感じるから。
考えたら、当たり前の話。
義母のつくった家庭で育った夫は、私にモラハラをした。義母は、私が苦しんだ原因の一端を担った人という見方もできる。
義母には事情もあったと考えるようにしてきたけれど、もっと本気で、適切に夫のことを育てていてくれたら、という気持ちは拭い去れない。
おまけに、体調不良の義弟に向き合わず、財産の話をし出したから、当惑してしまう。
同じ家で育ちながら、夫と異なり、理性的で思いやりもある義弟。相当な努力をしていることだろう、と自宅療養になる前から思っていた。
その義弟が、長引く体調不良になってしまっているのは、義弟一人の責任ではないと私は思っている。
でも、義弟は、自分を責めるような言葉を送ってくる。
私は、他の人よりも、義弟の育った環境について、よく考えてきた。一見、まともそうに見える夫と義弟の実家がどれだけおかしかったか、私は見ていないけれど、夫を通して知った。
だから、義弟のことは放っておけない。
放っておいたら、義弟は病院に行こうとしない困ったひきこもりの40歳の息子、ということにされてしまう。
本人も自分のことをそう思っているかもしれない。
でも、ちがうんだよ。
これは義弟一人の問題ではないことが、どうしてわからないのかな。
家って本当は、もっと安心できるところなんだよ。
夫が話下手だから、具体例の数は少ないけれど、聞いて知っていることもある。
義父がしょっちゅう大声で怒っていたこと。
そうすると、義母は窓を閉めること。
いたずらでお風呂にお菓子を入れたら、義父が夫の頭を踏んだこと。
夫によれば、自分ばかりが怒られて、義弟は怒られないように注意していたらしい。
それも、どれだけ疲弊することだったか。
義弟は自分の気持ちを家族の誰にも言わないけれど、言える人がいなかったのだろう。
こんな話をどう義弟に伝えていくかは、まったくノープラン。
夫は実家に問題があったという話を嫌がる。実家には大きな問題がなくて、自分がわがままだと思っているそうだ。これは、何度話しても変わらない。
あまりにも変わらないので、私の想像力がたくましくなりすぎているのかな、と思うこともある。
義弟も夫と同じように、実家の話は嫌がるかもしれない。
様子を見ながら、話すかどうかは決めるつもりだ。
義弟には話さないかもしれないけれど、夫の実家に問題があったという考えは、私が義弟を放っておけない理由の大きな部分になっている。
この考え方と義母と仲良くすることは、どうにも両立がむずかしかった。
だから、義母から「そっと離れる」。
表面上は今のままで、心を離すことにする。
こう決められたことで、ずいぶんと気持ちが楽になった。