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余計なお世話(3)

義弟の暮らす家に行ってきた。

前回書いたように、義弟は二つの家を行き来しながら暮らしているため、どちらの家にいるかの確認をした上で、義弟、義母の双方に行っていいか了解をとらなくてはいけないのが大変だった。

そして、迎えた当日。
着いてすぐ、義母から「〇〇(義弟)は楽しみにしていたんだけど、2、3日前から昼夜逆転してしまって寝ているの…」とのこと。

私はもちろんがっかりした。
でも、今年に入ってようやく会話できるようになったが、それ以前はろくに話もできないのが当たり前だったから、そんなにショックもなかった。 

気持ちを切り替えて、義弟に渡したいものについて話したり、義母がうちにくれるものについて教えてくれたりしていると、義弟が登場。

廊下から顔を見せて「とても人前に出られる状態じゃないんで、また今度ゆっくり」みたいなことを言っていた。

ヨレヨレの服にボサボサの髪。
目もしっかり開いていない。

いい意味でコメディでも見ているかのような、笑いがこみあげて来るような明るい気分になった。
こんなに気まずい状況で、よく顔を見せてくれるものだ。一瞬で許せてしまった。

義弟は苦しんでいる、とばかり思っていたけれど、そこまで悩みがありそうでもなかった。身体はやはり痩せているし、笑っている場合では全然ないのに、楽しいような、笑いたいような気持ちになったのはたしか。

義弟が挨拶してくれて嬉しかったし、何か話したり話を聞いたりしなければ…という緊張が解けたことが、笑いにつながったのかもしれない。声を出して笑ったわけではないが。

夫(元モラハラ夫)にもいいところがあるから離婚しないのだが、人には説明しにくい夫の長所と義弟のこの憎めなさには通じるものがある。

悔しいけれど、義母の現実離れした部分が、うまいこと受け継がれているような気がする。

義母、夫、義弟は個性がバラバラで似ていないけれど、みんなそろって天然の要素があることに今さらながら気づいた。

義母と義弟は一見ちゃんとしているし、夫は長いこと私にとって敵みたいなものだったら、気づくのが遅くなった。

天然なんだなと思えば、この先何かあってもモヤモヤしないでいられるかもしれない。それは言い過ぎでも、モヤモヤが少しマシになるかも。 

ちなみに、義弟が挨拶だけして寝ていたと伝えると、夫は「逃げたな」と言った。もしかしたら、それも少しあるかもしれない。私はできたら行政の無料相談のことを伝えたかった。

でも、私が同じ立場なら、挨拶もしないでずっと部屋にいるような気がする。挨拶してくれた義弟の印象は悪くならなかった。 

前進はしていないが、義母は用事がなくてもまた来れば、と言っていたし、本当にまた行こうと思っている。

その後、義弟にメッセージを送ったが返事はない。前に返信不要と伝えているから、その通り返信がないことは喜ばしい。義弟が私に変に気を遣わないでくれたのはよかった。

でも、本当は “返信ほしいな” と思ってしまった。返信があれば、また行ってもいいんだと思える。まぁ、挨拶してくれたのだから、それで充分だ。

私も義弟を助けるどころではなくて、このように気持ちに浮き沈みがある。パートの仕事も増やして、忙しくもなった。

義弟のため、もあるけれど、あのまま義弟が不健康な状態でいることはどうしても良くないと思うし、私は放って置くことができない。余計なお世話は少しずつ続けようと思う。


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