認知行動療法のヒント②
看護師 山田祥和
言っても言っても同じ失敗をする。
何度言っても忘れ物をする。
いくら言っても片付けられない。
いつも靴下を脱ぎっぱなしにする
私たちは、「自分の思い通りにならない」ときにイライラを感じることが多いです。
家族や同僚、部下が期待通りの行動をしない、子どもが何度注意しても変わらない、部屋が片付かないなど、自分の価値観に反する行動に対しての反応です?
この「思い通りにしたい」という気持ちが、イライラを引き起こす要因です。
一方で、同じ状況でもイライラしない人もいます。その人は「自分がコントロールできること」と「自分がコントロールできないこと」を明確に区別し、コントロールできないことには執着しないようにしています。
例えば、天候が原因で予定が崩れた場合、「自分ではどうしようもできない」と受け入れやすいです。天気は自分の力では変えられないですから。
しかし、渋滞や他人の行動のように「本当は変えられるかもしれない」と考えてしまうと、どうしてもイライラが生じやすくなります。
では、どうすればイライラを減らすことができるのでしょうか。
1. 自分の考えを見つめ直す
まず、イライラの原因となっている「思い込み」を意識します。例えば、「何度言っても変わらない」という思いではなく、相手には相手のペースや考えがあり、それをすぐに変えるのは難しいと考えるのです。
2. コントロールできる範囲を考える
自分がコントロールできることに集中し、コントロールできないことからは距離を置くことが大切です。例えば、天気や他人の性格、他人の行動は自分の力では直接変えることはできません。それらに執着することで自分のエネルギーが消耗します。自分ができる範囲で影響を与えられる行動に目を向けます。
3. 自分にとっての「受け入れ」と「期待」のバランス
他人の行動に対する期待を持つことは自然ですが、それが実現しないときにイライラを感じるのも事実です。このとき、期待を「希望」として捉え直し、結果が異なっても過度に失望しないようにする心構えが重要です。
イライラしやすい状況に対して「これは相手のペースの問題だ」「自分ができるのはここまで」と受け入れることで、自分の気持ちも和らぐかもしれません。
最後に、イライラしない人は、他人に対する期待を柔軟に保ちながら、状況を客観的に捉える力を身につけています。
私たちもこの考え方を実践することで、より穏やかな心を持ち、日常のストレスと上手に向き合うことができるようになります。
ポイントは幅広い物事の捉え方です。