強迫性障害 〜共感と認知行動療法〜 訪問看護で行っていること②
看護師 山田祥和
②信頼関係を築いた上での暴露(認知行動療法)
前回は強迫性障害の対応として、「共感しながら大丈夫という安心感を得られるように」という関わりについて書きました。
本日は信頼関係を築いた上で、暴露を一緒にやってみることについて書きたいと思います。
まずは医師の指示のもと行います。強迫行為を引き起こす強迫観念(不安や恐怖の源)に段階的に直面し、それに対する反応を制御することを目的としています。
暴露には次のようなステップがあります
1. 評価と準備
強迫観念とそれに関連する回避行動を特定し、治療計画を立てます。
どんな考えがあるのか、その時自分はどんな行動を取るのかを一緒に考え、どのように行っていくかの計画を立てます。
2. 階層作成
強迫観念や状況を不安のレベルに基づいて階層化します。
最も不安を引き起こすものから、比較的軽度のものまで順番にリストアップします。
例えば
①不潔
②確認
③対称性
④数字
3. 暴露と反応防止
階層の下から順に、強迫観念や状況に段階的に直面させます。この際不安を感じながらも回避行動をとらないように声掛けを行いながら支援していきます。
汚いものに触れても手を洗わない、鍵の確認をしたくなっても一度もさせないなど、やらなければ気が済まないことをストップさせます。これにより、やらなくても大丈夫を落とし込みます。
4. 反復と強化
これらのステップを繰り返し行い、不安が減少するまで続けます。徐々により高いレベルの不安に挑戦します。手を洗わなくても、確認しなくても大丈夫だったと一緒に成功を振り返ります。
そうして私たちは、自分の中に大丈夫を落とし込んでいくお手伝いをしていきます。共感の中に気づきを与え、信頼関係を築いた上で暴露して、大丈夫を落とし込む。この作業を時間をかけながら、時には別の楽しみを行いながら支援していきます。
また、あまり頑張りすぎないのも方法です。強迫性障害を治そう治そうと頑張る方法もありますが、強迫性障害と折り合いをつけながら、生活していく方法もあります。
「強迫性障害があるけどそれも自分」と受け入れて生活するのも気持ちが楽になります。