摂食障害と上手に付き合いながらの生活 〜訪問看護での関わり〜
看護師 山田 祥和
摂食障害にも色々なタイプがあります。
体重が増えることへの強い恐怖や、自分は太っているという歪んだ認知から、極端な食事制限する人。
何時間も食べ続け、食べた後に罪悪感に苛まれ、指を突っ込んで吐き出す人。たくさん食べるが、その後に筋トレ、ランニング、筋トレ、ランニングと過剰に運動する人。
過食エピソードが繰り返されるが、嘔吐や運動などの代償行動は行わない人。お腹いっぱいで苦しくても食べ続け、泣きながらも食べ続ける人。
色々なタイプがあります。人によっては色んなタイプを繰り返す人もいます。
その原因も複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
遺伝的な要因があったり、脳の神経伝達物質やホルモンのバランスだったり、心理的要因もあります。
自分に対する否定的な感情や低い自己評価が摂食障害に結びつくことがあります。また、完璧主義で高い基準を自分に課し、強迫的に行動する人もいます。
対人関係の問題で、家族や友人との対人関係のトラブルや孤立感が影響することがあります。
家族の間での過剰な食事制限や肥満への否定的な態度が影響することもあります。
強迫性障害を併発するケースもめずらしくありません。
共通の心理的要因が見られます。完璧主義、低い自己評価、不安などが両方の障害に共通して見られます。
行動も似ており、食事に関する厳格なルールや儀式的行動が見られることがあります。体重、数字にこだわりがあり、それに縛られます。
症状や原因も個々のケースで異なるため、総合的に評価し、個別のアプローチが必要になってきます。
地域支援をしている訪問看護では、まずは気持ちに共感し、否定しない関わりを心がけています。
基本的に強迫性障害の関わりと似ていて、「関わりの中での気づきの芽生え」です。
摂食障害の方ですと、身体的な視点も必要になってきますので、心理的支援の他に、健康状態のモニタリングもおこなっていきます。
医師の指示があれば、一緒に買い物に同行し、必要あれば栄養指導も行い、健康的な食生活の維持をサポートします。食事に関する不安や誤解を解消する手助けも行います。
また、家族のサポートも行っていきます。摂食障害についての正確な理解と適切な接し方や支援方法を伝えます。家族が健康でいることが大切ですので、家族自身のストレスや不安を軽減するためのサポートも行っていきます。
摂食障害は治りにくいと言われています。食べられるようになったと思ったら過食が始まり、過食が止まったと思ったら、過度運動をしなければ気が済まなくなり、
自分も家族も一喜一憂します。
しかし、そんな状態でも生活していかなければなりません。
摂食障害と折り合いをつけ、上手に付き合いながらの生活を目指します。
体重が気になっても自分。あまり食べられなくても自分。食べ吐きを繰り返してしまっても自分。決まった運動をしなければ気が済まないのも自分。
訪問看護は、摂食障害を持ちながらもそんな自分を受け入れられるような支援をしていきます。