金川晋吾『Father』
今日(2025/01/11)、写美で上映されていた金川慎吾さんの『Father』を見てきた。ので、忘れないうちにその感想を書いておく。
百瀬文さんの定点観測(父の場合)を見ているときは、お父さんの身体が百瀬さんの意のままに操られているような感覚が少なからずあって(そうでなくお父さんがその期待を裏切る場面もしばしば見られるからその緊張が面白いのだけれど)、
金川晋吾さんのお父さんのとの会話では、金川さんが下手に出ているような感じがあった。本読んでと頼まれたのにもかかわらず全然読んでくれずバイクのミラーをひっくり返す犯人を見つけて怒鳴り込むお父さんの奔放っぷりに、そのお父さんの操縦できなさを理解しながら都度何を考えているか尋ねる金川さんの様子が印象的だった。その一点に関して、二つは対照的かなと考えたりした。
お父さんが繰り返し用いる”知らず知らずのうちに”という言葉。自分が変わるのに大それた理由なんかなく、気がついたら変化し終えて元々どんなものだったのか、そもそも元々とはどの地点を指すのかわからない。その奇妙な感覚はたしかにある。今の私とは全く異なる思考と行動をしている過去の人物が、同じ体に介在していたという一点のみを理由に、問答無用で”私”と同一視されなければならない気持ち悪さ。私が私を認知して初めて存在できるのにその前からわたしは続いていると思うと、私というのは「知らないうちに始まってい」るし、始まっていることに気がついた時にはある程度物事は進み切ってしまって重要な選択の一つや二つは終えてしまっているのかもしれない。
あと、『Father(本最後まで読んだver.)』はぜひ見てみたい。