見出し画像

インド二日目 こみ上げる孤独と蚊の夜

朝起きると、まだなんだか眠たくてごろごろする。ベッドはとても広いし、虫の心配もないうえに、クーラーもついている。ごろごろ。

今日からお世話になる宿の人と連絡をとる。
いろいろ気にしてくれるし、いい人みたい。よかった。

荷物を軽くパッキングし、朝食へ。

食べ放題のビュッフェなんだけれど、インドらしく、イドゥリーやプーリー、ココナッツチャトニ、ラッサムなどがあったりする。



ぼんやりしていると、目の前に実はドーサを焼いてくれるスタンドがあることに気づく。

お腹も結構いっぱいなので、しばらく見つめていたが、お願いしてみることにした。


プレーンドーサ。
白い豆と米を水にふやかしたものをミキサーにかけて発酵させたものを、器で鉄板に流し、そのまま器の下の平らな面で綺麗にくるくるとクレープのように丸くして、すこし乾いてきたら、油をちょちょいとかけて、フライ返しで整え、焼き上がり。最後にくるくると巻いてくれた。

お腹いっぱいだったが、チャトニやラッサムをつけて食べるとおいしい。

しかし、なんだか心が寂しい気持ちがしてくる。
なんだろうこれは?

部屋に帰って、しばらくごろごろしている。

すると、ふいに、
お前は孤独を感じるために来たんだよ。
カレーのことはまたその次でいいんだ。
という言葉が浮かんでくる。

なんだろう?

と同時にクリスマスのミュージックが流れてくる。寂しい。いま、とても寂しい。
この瞬間、ものすごくひとりだ。

その寂しさを味わっている。
奥深いところから。じわじわと浮かんでくる。
それを、ただ眺めるようにして。


しばらくぼんやりとし、心が落ち着いたところで、起き出し、ホームステイ宿に向かうことにした。

宿の精算を済ませて、ウーバーを呼ぶ。
日本でダウンロードしておけば、Wi-Fiが繋がるところならウーバーを呼べるのだ。楽ちん。

ウーバーで、ホームステイ宿に向かう。
道はとてつもなく混み合っている。
通勤ラッシュなのか、どうなのか。

宿のあたりに着くと、どれが宿なのかわからないので、運転手さんにお願いして、お家の人に電話してもらった。
↑そゆとこ意外と優しいのよ、インド人!

向かいから手を降ってくれる。
無事到着!

優しそうなおじさんクリシュとおばさんジェイのお家。
ココという犬を一匹飼っている。

すこし他愛もないお話をしたりしていると、冷たいジュースを出してくれた。
とても心が落ち着く。ふたりとも笑顔がとてもやさしい。いい人というのがすぐにわかる。

安心して居られる場所というのは、どこにいても必要なもので、それが無いと不安なのだった。

部屋の案内をしてくれて、さらに何か問題があれば気にせずに言ってね。と言ってくれる。なんと優しいのだ。
こうやって心を尽くされている場所が汚い訳もなく、わたしは、大丈夫です。とても綺麗だし、快適ですよ。と答えた。
ここに来られてよかった〜

ひと安心だ。ほっこり。
チェンナイは、夏のように暑く、タクシーなんかではクーラーもついている。

つまり、ネパールで着ていた冬服はしばらく不要なので、この先立ち寄る予定のダラムサラに送らせてもらおうかと整理してみる。結構なボリュームだ。

その整理が終わって、出掛けることにした。
ジェイは出掛けるときも、どの車に乗るといいよとか丁寧に教えてくれる。ほんとうに優しい。

今日は、まず、SIMカードを買いに。
エアテルのお店を目指す。

ジェイに白いシェアオートに乗るように勧められたが、手を上げても、振っても、ちっとも止まってくれやしない。
なんで?日本人ダカラデスカ?
諦めて、バスに乗ることにした。



バスを降りてまた、テクテク。
何故か見つけそこねて、インド人のお兄さんに道を聞いて、ようやく到着。
お店では、パスポートとインド人の電話番号が必要だと言われる。クリシュのを使わせてもらう。そこでいろいろ入力してもらって、無事にSIMカードをゲット!
(パスポート、インド人の電話番号があれば、ゲットできます◎ 宿の人に番号借りるとよいかも。)
しかし、一時間後にSIMカードを入れて、窓口に電話をかけて、ナンバーを押せだの、お金をチャージしろだのと言われる。ちゃんとできるかな?

無事に終わったから、ソーマやらアメジストやら、大好きなブロックプリントの服を売っているところを訪ねる。
案の定、テンションが上がるが、いつも似たようなのを買ってしまうきらいがあるのでちょっと違うテイストのを買ってみることにした。

それから、京都のラトナカフェさんリスペクトのラトナカフェで遅い昼ごはん、かつ、夜ごはんを食べることにする。
夜はミールスはないから、マサラドーサにすることにした。じゃがいものスパイス炒めが入っている、薄い米と豆液を発酵させたクレープみたいなやつ。


じゃがいものマサラはとても柔らかく、あまり辛くもない。そこに、ココナッツチャトニのコリアンダーの入ったのと、トマトチャトニ、サンバルがついていて、それをつけて食べる。
美味しい。

特にトマトチャトニが美味しかった。クリーミーでコクがあって美味しい。豆の味がした。
もうすこし、チャトニとサンバルが欲しいと告げるとついでくれる。やさしいおじさん。

食べていると、漠然と、また孤独が襲った。
お腹いっぱいなのに孤独なんて。
なんなんだろう、これは?

胃液が逆流してくるかのように、胸の中から込み上げてくる苦々しくて酸っぱいような孤独。

ああ、なんて孤独だろう。

ドーサと一緒に噛みしめる。ドーサやサンバルのように酸っぱくて、スパイスの味のように複雑だ。口の中が重たく、ドーサすら飲み込めなくなってくる。孤独なんて尚更だ。

この孤独をちゃんと満たしてくれるものは、いま、心をこめて作られた日本食でしかない気がした。

わたしは、ただのインド料理をつくるのでなく、その土地にあるもので、その土地に住む人に合ったものを作るのだ。
ふと、そんなことをおもう。

食べ終わったら、お家へ帰ることにした。
歩いて地下鉄駅へゆき、地下鉄に乗る。

地下鉄は日本の地下鉄並に近代的なつくりだけれど、トークンという切符がわりのコインみたいなのを買うマシーンが全然お札を呑み込んでくれない。から、やたらと窓口は混雑しています。
そんなところが、とってもインド。

地下鉄の車両には、女性席もあって、色鮮やかなサリーやクルタを着た女性たちで埋め尽くされている。なんて鮮やかで、華やかなんだろう。
これぞ、インドの女性という感じがする。みんなお洒落に着飾っていてエネルギッシュで明るい雰囲気を放っていた。



それに比べて、わたしは、シータみたいな藍染パンツにグレーのTシャツととっても地味だなぁと反省。明日は、買ったやつを着るぞ!

それから、帰って、SIMカードに挑戦。
やたらとマラヤラム語で会話される自動音声がよくわからなくなり、ジェイに交代。
クリシュもいろいろしてくれて、なんとかアクティベートされました!
よかったー
デリー空港でSIMカードを買わないなら、インド人もしくはインド在住者のヘルプはかなり大切ですな。

それから、ジェイが野菜のココナッツカレーとチャパティを出してくれた。ココナッツカレーはやさしくてとても旨い。
心が穏やかになるようだった。

疲れていたし、早めに寝ようとベッドへ。
ところがどっこい、蚊が一晩中うるさくって眠れませんでしたとさ。

殺しても殺しても、どこからか湧いてくる蚊たち。

寝袋のインナーに包まってみても、プーンという音の恐怖からは逃れることができない。

最後の最後は、高速ファンを回しつつ、毛布を全身に被るという技を繰り出し、なんとかすこうし眠れたのでした。ちゃんちゃん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?