見出し画像

がん治療中の「眠れない夜」:心と体に優しい休息法

がんなどの長期治療中は、多くの方が夜の睡眠が満足にとれていないのをご存知ですか?眠れない理由は様々ですが、夜眠れないことは大きなストレスになります。さらに睡眠不足により、日中の活動にも影響が出ますよね。
集中力なども低下しますし、食欲が低下してくる場合もあります。
眠れないストレスをどう解消するか、そのキッカケになるようお伝えしていきます。



1. 眠れないことを気にしすぎない

意外に思うかもしれませんが、眠れないことを気にしすぎないことが大事。
夜眠れないことが気になると、かえって眠れなくなってしまいます。これは多くの人が経験するジレンマ。こんな時は無理に眠ろうとせず、リラックスすることに集中してみましょう。

以下のようなことを試してみるのはどうでしょうか:

  • 好きな本を読む

  • 落ち着く音楽を聴く

  • リラックスできる香りを楽しむ

  • ほんのりとした灯りをつける

  • ノンアルコール飲料を飲む(アルコールは基本避けましょう)

  • 軽いストレッチをする など

ご家族が隣で寝ていても静かに取り組めるのだと、『起こしたらどうしよう』と気にならず過ごせるかと思います。自分を責めずにリラックスする時間だと考えてみるのがポイントです。

また、日中に休める時間があれば休んでみましょう。
ただし、昼夜逆転にならないように夕方以降は眠らない、など一定の生活リズムを持つことが望ましいです。

◎横になるだけでもOK

重要なのは、無理に眠ろうとしないこと。体を横にして休むだけでも脳も身体も心も休まりますよ。ゆったりと構えて、「別に眠れなくてもいいんだ~」と自分に伝えてみましょう。

◎夜の不安について

夜は特に不安を感じやすい時間帯です。これには理由があります:

  • 夜は周りの音や匂い、光などの刺激が少なくなり、脳が空白の時間を持ちやすくなるため。

  • 脳は空白を嫌う傾向があります。その結果ネガティブな思考が強くなります。なぜなら、1日の思考の80%はネガティブなものと言われているくらい、脳の基本思考はネガティブなことだから。

  • 結果、漠然とした不安が膨らんでいき、さらに眠れなくなってしまいます。

だから、脳を別のことに使う=意識をするのです。ただし、刺激が強すぎないようにしてみてください。刺激が強いと感情と身体をコントロールする自律神経が活発になってしまい、目がさえてしまいますよ。リラックスしてのんびーりできる環境を意識してみてくださいね。


2. 眠れない原因を一つずつ減らす

不眠の原因は人それぞれです。
ご自身の場合、何が原因なのか考えてみましょう。

特に精神的な要因が大きいと感じる場合。心の内を誰かに話していますか?
ご家族や友人に話しやすい方には、「ただ聞いてほしいの」と伝えてお気持ちを話してみるのはどうでしょうか。
話しをしにくい場合は、主治医や看護師・カウンセラーなどの専門家に相談するのもよいでしょう。

あなたの眠れない原因はなんでしょうか?


3. 薬や病態の影響を確認する

使用している薬によっては、睡眠に影響を与える場合があります。
例えば、以下の薬剤は夜間の睡眠を妨げることがあります:

  • ステロイド

  • 利尿剤

  • 抗がん剤(副作用として)

  • 皮膚のかゆみ、むくみなどがある

  • 痛み(病気の進行に伴うモノ、筋力低下、骨突出など)によるもの など

もしこのような薬があって眠れないことが続いている時は、主治医に相談してみてください。
また抗がん剤など治療スケジュールを確認し把握することで、少し見通しがつくこともあります。
どのタイミングでゆっくり休めるのか?コレがわかるだけでも気持ちが楽になります。
薬のことはためらわず、主治医に相談。ちょっと言いにくいな、というときは看護師に相談して大丈夫ですよ。



がん治療中の睡眠障害は決して珍しいものではありません。一人で抱え込まず、周りの人や医療スタッフに相談しながら、自分に合った対処法を見つけていくことが大切です。

重要なのは、眠れないことにとらわれすぎないこと。体を休める時間として捉え、リラックスすることに集中しましょう。そして、夜の不安な気持ちは自然なものだと受け入れつつ、穏やかな活動で脳を適度に使うことを心がけてみてください。

同じような悩みを持つ方々の参考になれば幸いです。
今日はゆっくり休めますように。


かかりつけナースカウンセラー
岡田聡子

<関連記事>


いいなと思ったら応援しよう!