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疲れ、不安、辛さがある時に必要なケアとサポート-治療を頑張っているあなたへ-

がんや長期治療中の場合、ご自分だけなく仕事やお子さんがいればお子さんのこと、パートナーのこと、どれも大切な未来を共に過ごしたい一心で治療に懸命に取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。

そういった方はこれまで家事や育児、仕事もできる限りこなしながら、通院を続け、状況によっては仕事も続けておられたりする方もいるかもしれませんよね。治療を受けながら、できる範囲で生活を続けてこられたことと思います。

ですが、ここに辿り着いたということは、最近は心も体もいわれのない疲れや辛さ、不安を感じる瞬間が増えてきているのではないしょうか?

例えば、「気力が出ない」「朝起きるのがツラい」「子どもと遊ぶのも億劫に感じる」「諦めたような気持ちがある」「漠然とした不安が強くなった」こういった感情が沸き上がってきてもおかしくはありません。

病気による不安をはじめ、治療の副作用もありますし、大切な人の未来を考えていると、心身が疲れ果ててしまうことは誰にでもあることです。
ですが、それでも頑張り続けなければいけないという思いが、あなたをさらに追い詰めているのではないでしょうか。


治療が長くなると、疲労も不安も増していく

治療が長期にわたると、最初は希望を持っていたとしても、徐々に心身の疲労が積み重なり、続けることに対する不安や辛さが増してくることはどなたにも起こりえることです。
誰しもが通る道であり、あなたが特別に心が弱いから、というわけではありません。むしろ、ここまで頑張り続けてきたことがあなたの強さです。

ですが、ここで大切なのは、無理に我慢し続けることではないということ。自分の体や心の限界を感じたら、それを素直に認めることも勇気ある選択です。

「治療を辞めたい」「これ以上は続けられない」と思ったとき、その思いを押し込める必要はありません。そう感じる自分を責めるのではなく、むしろその感情に寄り添い、「そう感じていたんだね」とそっと自分をハグしてあげてください。それだけで押し込めていた感情が認められたと脳は思え、ギュッとしていた心の力がゆるんでいきます。


一人で抱え込まず、周りに頼ってみる

特に、家族には弱音を吐けないという方が多いです。
子どもたちや夫に心配をかけたくない、申し訳ない気持ちがある・・・そう感じることもありますよね。

しかしその重荷を一人で背負い続けると、いずれ心も体も壊れてしまうものなのです。家族に直接話すことが難しければ、まずは医師や看護師に相談してみてください。また、心の専門家、たとえばカウンセラーや精神科のサポートを受けることも一つの手です。

私が病棟看護師時代にもそのような方は年齢・性別問わず比較的いらっしゃり、必要に応じて精神科の先生の介入がありました。
結果、夜は眠りやすくなったり、心の内を話せたことでスッキリした、と表情が和らいだ方もおりました。

心の専門家や主治医・看護師などに自分の気持ちや状況を伝えることで、心と身体の負担が変わっていきます。

治療を辞めるという選択肢の時は・・・

時には、治療を続けることがあなたにとって本当に良いのかどうか、考え直す時期が来ることもあるかもしれません。それは、残りの人生をどう過ごすかという、非常に重要な選択肢の一つです。

ただ、治療を続けるかどうかを考える際には、主治医だけでなく、パートナーや家族ともよく話し合いましょう。あなたが感じている疲れや不安、辛さを正直に伝えることで、彼らもより深くあなたの状況を理解し、一緒に考えることができるようになります。


治療を辞めるという選択をした患者さんも見てきました。がん治療、血液透析、その他の疾患・状態の治療の継続に悩み、これからの自分の人生を考えた末でした。
その選択をするまでに何度も主治医やご家族と話し合い、時にたわいもない会話をしながら、ゆっくりお話をして考える時間を共に持ち、最終的にはご本人が納得をして治療をおやめになりました。


だから、大切なのはあなた自身がどうしたいのか、そして残りの人生をどう生きたいのかを焦らず選んでいくことです。

おわりに

治療を続けていくことに辛さや不安、疲れを感じたときは、どうか一人で抱え込まず、周りの人々に支えてもらうことを恐れないでください。
辛さ・不安・疲れはどれも自然な感情の流れであって、そんな自分の感情を大切にしてあげることがとても大切です。

どんな状態であっても、あなたの心を大切に過ごしていくキッカケになれば幸いです。


相談先がすぐに見つからない、誰に話していいのかわからないという時は、まずはメッセージやオンラインでお話してみませんか?
お話するだけでも、ギュッとしている心の力が和らいでいくキッカケになりますよ。



治療を頑張っているあなたの心が、これ以上ギューーっと力が入って疲れ切ってしまいませんように。


患者さんとご家族が心穏やかになる かかりつけカウンセラー
岡田聡子

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