人材開発におけるBloomのタクソノミーの重要性と知らないことのリスク
研修や人材開発に携わっている皆さんは、Bloomのタクソノミーという言葉を聞いたことがあるでしょうか? インストラクショナルデザインの一部だ、と思っている方もいると思います。
現代の企業において、従業員の能力向上と効果的な学習プログラムの設計は、人材開発担当者の重要な役割です。そういった意味で、インストラクショナルデザインの基礎知識の一部であるBloomのタクソノミーですが、組織における人材開発の目的を達成するためにも、Bloomのタクソノミーを熟知することが不可欠です。特に、スキルベースの組織、人材の育成が重要視されている今、Bloomのタクソノミーが人材開発においてどのように役立つか、そしてそれを知らないことによるリスクは何かを考えてみました。
Bloomのタクソノミーとは何か
Bloomのタクソノミーは、1956年に教育心理学者ベンジャミン・ブルームが提唱した教育目標の分類体系です。このタクソノミーは、知識を6つのレベルに分類します:記憶、理解、応用、分析、評価、そして創造。これにより、学習者がどのように知識を取得し、応用し、さらに発展させるかを体系的に理解することができます。
人材開発におけるBloomのタクソノミーの重要性
効果的な学習プログラムの設計
Bloomのタクソノミーを活用することで、人材開発担当者はより体系的で効果的な学習プログラムを設計できます。各レベルに応じた学習目標を設定することで、従業員が段階的にスキルを習得できるようになります。例えば、新入社員には「記憶」と「理解」のレベルに焦点を当て、管理職には「分析」や「評価」のレベルに焦点を当てたプログラムを提供できます。
評価とフィードバックの向上
Bloomのタクソノミーを用いることで、学習の評価やフィードバックも向上します。具体的な目標に基づいて評価基準を設定することで、学習者の進捗を正確に把握し、適切なフィードバックを提供することが可能です。これにより、学習者は自身の弱点を理解し、次のステップに向けた具体的な改善策を講じることができます。
モチベーションの向上
学習プロセスが明確であり、各ステップでの達成感を感じられるようになると、学習者のモチベーションも向上します。Bloomのタクソノミーを基にしたプログラムは、明確な目標設定と達成感を提供し、学習者が積極的に取り組む姿勢を育むのに効果的です。
Bloomのタクソノミーを知らないことのリスク
学習プログラムの効果低下
Bloomのタクソノミーを知らないまま学習プログラムを設計すると、学習目標が曖昧になり、効果的な学習が阻害されるリスクがあります。各レベルに応じた目標設定が不十分だと、学習者がどの程度スキルを習得したかを正確に評価することが難しくなります。
評価基準の不明確さ
評価基準が明確でないと、学習者の進捗を正確に把握することが難しくなります。これにより、適切なフィードバックを提供することができず、学習者の成長を導くことが困難になります。
低いモチベーション
学習プロセスが不明確で達成感が感じられない場合、学習者のモチベーションは低下します。明確な目標が設定されていないと、学習者は何を目指しているのか分からず、学習意欲を失う可能性があります。
スキルベース組織構築の上での重要性
人材開発に携わる者がBloomのタクソノミーを熟知することは、効果的な学習プログラムの設計、評価基準の明確化、学習者のモチベーション向上に不可欠です。逆に、これを知らないことは学習プログラムの質を低下させ、学習者の成長を妨げるリスクを伴います。そのため、人材開発担当者はBloomのタクソノミーをしっかりと理解し、活用することが求められます。
また、このタクソノミーの考え方や学習の目標設定プロセスで行うタスクの分析や「行動動詞」で定義する達成基準の考え方は、コンピテンシー定義や能力要件、スキルレベルの定義や分類を行う上で参照することもできるでしょう。それは、昨今叫ばれているスキルベース組織を構築していく上でも重要な人材開発担当者のスキルと言えるのではないでしょうか。
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