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利便性のために国籍を変える人

私の同僚でインド人がいて、その人は両親が10年以上前からオーストリアに来ていてレストランで調理をして働いていて、本人はと言うとオーストリアに来てからはまだ4年ほどしか経っていない状況。

今現在彼ら家族はオーストリアで暮らしていて、両親はすでにオーストリア国籍を取得しているそうです。

そのインド人同僚はインスブルックの大学で学位を取って(授業を全て英語で受講できる学科を開設している大学)からこの会社に勤めだして、

最初は英語で機械の販売トレーニングをする部署にいたけども、
そのうち自分の能力(彼は機械畑の人間ではないので)と業務内容に葛藤を感じてアメリカ支社へ行きたいと思うようになったそう。

ドイツ語はそこそこしゃべれるようになってきたけど、英語の方が得意みたいだし

英語圏で本社が管轄している支社があるのはアメリカ、カナダ、イギリスあたりかな、

その中でアメリカ支社へ行きたいと言いだしたもんだから、私の所属している班(拠点から飛行機で8時間以上離れている輸出国、アジア北米南米オセアニアを扱う班)に移動してきて

それですぐにアメリカの滞在許可がもらえるかと言うとそうはいかず、まだ会社に勤めて2年以上経っていないため、会社からの転勤という形が取れず

ビザの申請自体はずっと前に始めているけど、いまだに先が見えない状態らしいです。

それ以来数ヶ月ごとにアメリカに行って短期ビザで2ヶ月強滞在してオーストリアに帰ってくるというサイクルを繰り返しています。

アメリカのテキサス支社で販売を担当しているそうです。

彼の問題点としては、今オーストリア滞在許可も保有しているんだけど、その資格だと一年の半分以上オーストリアを離れると効力が危うくなるので

家族の住むオーストリアに来るのが容易ではなくなるということ。

だからオーストリアの滞在許可も保持しつつアメリカの滞在資格も得たいという、言わばいいとこどりをしたいというので本人の意思が固く。

インドのパスポートだと、アメリカにもオーストリアにもビザなし渡航はできないので、もしオーストリアの滞在許可を失うと家族を訪ねるにもビザが必要。

年が明けて久々にアメリカから戻ったインド人同僚と話したら、なんと彼はオーストリア国籍を取る決意をしたそうです。

来年から国籍取得が可能になる時期だそうで、
オーストリア人としてアメリカの在留資格を取ってそしてアメリカ支社へ移動する方が色々とスムーズだという見立てです。

その線で周りも動き始めています。

私はそれを聞いてびっくりしてしまいました。
でも本人も周り(オーストリア人)もびくともせずサバサバしています。

それに対してもびっくりさせられます。

出生時に取得した場合を除いて、自発的に成人以降に他国の国籍を取得すると元々の国籍は消失することになります。

私からすると考えられないけど、日本人でも外国籍に変更する人がいて、そうなると日本では全くの外国人と同じ扱いになるので

日本人として享受していた日本国での権利が一切なくなります。

覚えていますか?
コロナ禍で日本は長い長い間、日本国籍者以外の入国を認めていませんでした。

当初は永住資格保有者も再入国できなかったし、ビジネス以外のビザの申請もほとんど不可能でした。

家族に会いたいとか恋人に会いたいという外国人たちは日本に入れなかったわけです。

そんな状況下でも、私はヨーロッパ在留資格を持つ日本国籍保有者としてなんの手続きもなく行ったり来たりできていました。


日本に足を踏み入れると「お帰り」「向こうは大変でしょ」とみんな声をかけてくれます。

どっちも楽しんでますよ。

自分で外国籍を取得した場合、日本国籍喪失手続きをしないといけませんが、手続きをせずに嘘をついて日本のパスポートを更新し続けて、入国時はパスポートを2冊使い分けてうまく切り抜けている人もいると思いますが、それは法を違反しているということ。

白か黒かで言うと黒になるので
隠れて色々することになります。


私のしたいことは永住資格を取れば全部できるので、ヨーロッパに住むことで国籍まで取得する必要を感じません。

職業の選択が
とか
税制が
とか
選挙権が

という理由を述べる元日本人の話はありますが

そういうのは自身の“気持ち”の問題。

その国の人と全く同じことを全部したい!という気持ちの問題だと思う。

外国人としてその国に住む以上、ある程度の項目が享受できないのは当たり前だと私は思っています。

国籍がないとできない仕事?
他にも仕事はいくらでもあるよ。

だから「居住国の国籍を取得する“必要”があった」判断をしたのも揺るぎある“気持ち”であって各自の判断。

誰かに強いられて国籍を変える人なんていないんだから。


その代わり、日本人としていくら2週間一時“帰国”する時にもお帰りと迎えてくれる

その母国があることの嬉しさ。

今30代の自分が思うことと30年後の自分が思うことは絶対違うし

日本に生まれた人間として、日本人が享受する資格はずっと持ち続けていたい。

それくらい国籍は大切なものだと私は思っています。

決して利便性だけで変える物じゃないと。


ただし調べてみるとインドでは他国籍を取得した元インド人に対して“海外インド市民権”という永住資格が認められるそうで

だとしたらインド国籍をあっさり手放すのも抵抗がないのかなと思います。


知ってる中にはイギリスがEU離脱することが決まってから、一家でオーストリア国籍に変更した人もいるし

自国に発展性がないからオーストリアの国籍を取りたいとざっくばらんに話すポーランド人もいたし

その国によって、こうも国籍の捉え方は違うのかと思います。

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