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不登校、中卒、ニートの息子が仕事を始めた日

「行ってきます…」


21歳男子が、仕事に向かう。
初めての仕事、足取りは重い。

世間的に、21歳と言えば、大学生。
仕事を始めるといっても、何の違和感もない。

ただ…

僕の息子は、人間関係にちょっと過敏なところがあって、中学生の頃から不登校になった。


「ゲームを真剣にやりたい」と言って、高校には行かなかった。
そして、家でずっとゲームをしていた。

世間的には、ニート、引きこもり等と呼ぶのだろう。

そんな息子が、最近、
「ゲームでは無理っぽい」
「何をしたいのか、分からない」
って、こぼしていた。



中学の時の進路相談の際。

息子は、
「高校には行きたくない」
「ゲームすることに時間を使っちゃダメかな?」
と申し訳なさそうに話した。

僕は、
「良いんじゃない。やってみなよ」
って軽く答えた。

妻は、
「もっと真剣に考えてよ」
って言ってたっけ。


今、息子が迷っているのを感じて。
僕は、自分に問いかける。

息子に対して、
「アドバイスしておけば良かったかな?」
「真剣だったかな?」
「本気だったかな?」
って。

当時も、これまでも、口に出したいことはたくさんあった。

「息子のために」
と思ってやってきたこと。

あんなこと、こんなこと、
思い出すと、ついつい口から出そうになる。

でも・・・
ただ・・・

「良いんじゃない」って言ってきた。


そして、今日。

家もある。
食べ物もある。
何の不自由もない状況の。

そんな息子が、
仕事をしたいと思って。
仕事に行った。



僕が未来のために出来ること。

「良いんじゃない」と言って、

今を受け入れること。
未来に起こる出来事を受け入れること。
過去にしがみつかないこと。

こだわりは人を、輝かせる。
未来も輝かせる。
未来に期待もする。
だから押し付けちゃう。

でも、同じ世界に生きているようで、
一人一人の見ている世界は違っていて。

みんな違うこだわりがある。
それを心から受け入れること。

どんな未来も受け入れる、
準備をしておくこと。

それが僕のこだわり。


僕のこだわりを感じた息子や家族が、
誰かに関わって。

その誰かがまた、誰かに関わって。

多くの人の、過去・現在・未来を受け入れること。
そうやって、広がっていったら。

もしかしたら。

世界は平和になるんじゃないかなって。

この世界が嫌になっている人を、
少しだけでも救うことができるんじゃないかなって。

勝手に思っている。

だから・・・

僕はまた、息子に対して、
「良いんじゃない」
って言葉をしぼり出す。

一緒に、笑顔も添えて。

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