ドラマ「アンメット」を観ての感想と考察
脳のお話ということで楽しみに観ている。
以下、医学の素人ですが川内先生の病を考察。
側頭葉ブローカ野の損傷じゃないってことは、心因性の健忘ということ。
となるとトラウマによる解離性健忘が疑われる。
事故に遭ってPTSD状態となり、精神的にトラウマからの悪影響に耐えられないと判断した脳が記憶することを手放す、ということは全然あり得る。
自分にとって不都合だと感じるとヒトはあっさり記憶を手放せたりする。
それが解離のすごいところ。
まして田舎のヤングケアラーから医学部に進学したような女性なら、自己防衛にとって完全で完璧な解離システムを構築していてもなんら不思議はない。
ストレスに認知が耐えられないなら、認知自体しなきゃよくね?という判断はおおいにあり得る。
ある意味では、トラウマからサバイブするのは知的体力勝負なところがある。
その複雑なシステムに耐えうる頭脳がなきゃならない。
三瓶先生が西洋医学をいくら極めても、多分解離性健忘の複雑系は理解しきれないんじゎなかろうか。
トラウマへのアプローチは極めて東洋医学的だから。
三瓶先生が文節化から因果の世界へ踏み出すのか否かがとても楽しみ!
個人的に解離性健忘を描いた名作といえば「アムネシア」。
乙女ゲーム原作なので男性がプレイするのは恥ずかしいかもしれないけれど、解離と精神病理について超多角的に検討されているのでとてもオススメ。
解離性健忘で記憶を失っている主人公は、シン、トーマ、イッキ、ケントという男性と一夏のロマンスを経験する。
彼らはそれぞれ、アダルトチルドレン、パーソナリティ症B群、回避性パーソナリティ症、ASD(アスペルガー)という個性を持っており、対人関係が不器用である。
特に外面の良いトーマは愛のあまり檻に監禁したりするので、自分らしくいないことは他者に朝迷惑をかけるんだなと実感させられる…
さて、彼らとそれぞれ関係性を築いていくと、ラスボスとしてウキョウルートが解放される。
ウキョウは過去に主人公を守れなかったことでPTSDとなり、解離性同一性障害を患う。
パラレルワールドファンタジーなので、ウキョウは主人公を救うために、何度も何度も8月を繰り返すが、運命を変えることは出来ず、必ずどちらかが死ぬ。
やがて死の恐怖に耐えられなくなった彼は、恋人の死を願い自分の延命を望む別人格を生み出し、苦しむ。
そうやって解離性障害のカップルが無限に続くパラレルワールドの宿命を打ち破り、自分たちの幸福を見つけていくというお話。
ちなみに主人公の女子にはイマジナリーフレンドの妖精・オリオンが見えていて、失った記憶を一緒に探してくれる。
この作者さんが解離に詳しすぎて医者か?と疑ってしまうレベル。
・解離性遁走(目覚めたら知らないところにいる)
・解離性健忘(記憶障害)
・解離性同一性障害(多重人格)
・イマジナリーフレンド(妖精さんが見える)
など主要な症状がゲームで網羅されているすごい内容。
と、解説が長くなってしまったが、アンメットの考察に戻る。
このドラマは、アムネシアでいうとシンルートに近い終わり方になるんじゃないかな?
主人公は幼馴染に突き飛ばされて頭を強く打ち、解離性健忘になるが、恋人とともに真実に向き合い、幼馴染は自らの罪を認めて姿を消すというお話。
つまり、病院の教授さんがPTSDになった自動車事故に対して何らかの関与をしており、彼女が記憶を少し取り戻したタイミングで罪悪感から罪を自白し、どこかへ旅立つのでは。
そして川内先生はPTSDの治療(服薬とEMDRとか?)を経て、母親の執刀医として尊敬していた教授さんの負の側面を受容れ、その中で記憶が戻り、解離も分かる脳外科の先生として生きていくんじゃないかな。
今回勉強した内容。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-脳、脊髄、末梢神経の病気/脳の機能障害/健忘
フィクションでの描かれ方がテキトー過ぎると怒りを滲ませるMSDさん最高!
PTSD治療の最前線はこちら。
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20240301-1.html
青色光によって恐怖体験が再固定化されるかもしれないこと、トラウマがあると遺伝子のメチル化が起きているかもしれないことが書かれている。
実は合成麻薬はPTSDのフラッシュバックに有効かもしれないそうで…度重なる戦争で国中にトラウマの人が溢れているアメリカでドラッグが蔓延しているのも、うーん、という感じ。
大麻の成分はアメリカではPTSD治療に使われているので、やはり戦争と麻薬は切っても切れないズブズブの関係なのだと感じる。
※私自身は違法ドラッグ否定派です。
人間って思ったほど弱くないもんだ。
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