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移動する人と留まる人

どちらも必要

「鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡 ひざ掛け毛布」
梨木香歩さん著 新潮文庫

なんとも旅情を
そそられるタイトル
「土地のなまえ」の背景に
想いを巡らす旅情エッセイです

今日読んでいた一節で
印象的だったところをおひとつ
ふらふらとあてどもなく
あちこちを渡り歩く人

そんな旅人気質に対して
ほとんどそういうことはせず
その土地に定着し続ける人
梨木さんは前者なので

後者の方々に対して
ほとんど畏敬の念に打たれる
と書いています
私もこちら側なので同感

実際に周りの人たちを
見渡してみると
濃度の違いはあれど
確かに移動が好きな人と
家にいるのが好きな人がいます

旅人にとって
土地の人たちは
休憩所や食事、お宿を
提供してくれるありがたい存在

交通網が今ほど
発達していなかった昔は
まさに命に関わる
欠かせない存在

そして
梨木さんの文章で
印象的だったところ

土地に定住する人にとって
「旅人」は「まれびと」
僥倖そのもののような
存在だったと

なぜかというと
招き入れて旅の話を
生涯に一度も行ったことがなく
これからも行くこともないだろう土地の物語

それを聞くことは
定住人にとって

自分の中の魂の
生命力のようなものに
水をやるような
切実なものだったのではないか

私は旅人側の視点で
読んでいたので
梨木さんのこの表現は
目が覚める思いでした

お互い様なんだなあ
性質は真逆でも
お互いにとって
必要な存在なんだ

なんだかそれって
とってもいいな
そう思いました

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ここまで読んでくださいまして
どうもありがとうございます!





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