アッシュ

『灰になった歌でワルツを踊るカウボーイ』
と初めて聞いた時、すげぇな。と思ったかどうかは忘れた。でもアルバムの他の曲がすごすぎて、それほど記憶に残らなかったんじゃないかな。ライブでも流し聞きっていうか休憩というか、次のすごいのを待つ準備の時間みたいなものだった。
その分アベのことをじっと見ていられた。あー、こういう風に手を。ほうほう、なるほど。カッティングもブラッシングもなくて鬼要素も皿要素もない曲なので、最後の方がオリエンタルな感じになるのが好きだった。
てぃらりらりるり~、ドゥーン、ドゥーン、ドゥーン、ダーン。
みたいな。
そこから速いのが始まったりそのままチューニングの時間になったりしてたのかな。何も覚えてないけれども。アッシュの後はPINKが似合う気がする。

今はすげぇなと思う。夜中コンビニに行ってもしこの曲が流れたら、とても嬉しくなって立ち尽くしてしまうはずだ。曲が終わったら買う予定のなかった緑のビールでも買って、ニヤニヤしながら帰り道。遠回りして月なんか見上げてベンチで乾杯する。寒いのに。
あの頃のアッシュだとそうはならなかったはずだ。こういう気持ちは何だろう。何なんでしょうか。

『前後左右』を全部ひらがなで読むとカッコいい。と気付かされたのもこの曲だった。ゼンゴサユウではなく、まえうしろひだりみぎ。や、もしかしたらマエウシロヒダリミギかもしれないけども。
マエウシロヒダリミギだとキタキマユとかタケカワユキヒデ感が出るので、やっぱりまえうしろひだりみぎだろう。
そういえば、灰ではなくアッシュ。ASH。

灰汁、灰塵、死灰、灰白色、灰色ガンダルフ、槁木死灰、灰心喪気。
『灰』が付く言葉はちょっとダウナーなものが多い。ほとんどそうかもしれない。
『灰=燃え殻。くすんだ白色。元気がないさま。』
らしい。じゃあしょうがない。
『ash』で調べても同じような意味が出てくる。
あ。でもAshesはクリケットの優勝トロフィーのことらしい。トネリコの木もアッシュ。アベのギターも重いアッシュだったはず。

じゃあ、やっぱり灰じゃなくアッシュがカッコいい。



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