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#105 「お化見たことある?」

 夜9時になり、荷物を車に入れ、息子たちは帰る準備を終えた。その時、そうたは「今日は、りかこちゃんと一緒に、おばあちゃんらと寝る~。」と言い出した。そうたの決意が固かったので、父母は、弟を連れて家に帰った。そうたの父親は「夜中に泣くと迎えに来る。泊まることができたら成長や。」と言った。そうたにとって、お正月以来2度目のお泊りとなった。

 10時半ぐらいまでいとこと遊んでいたが、その後は、布団の中に入った。しかしそうたは、しばらく眠りにつけずにいた。

 11時を過ぎても、目を閉じていたが、そうたは眠れなかった。眠りかけていた私は、そっとトイレに行こうとした。そうたは「おじいちゃん。暗いところが怖い。おばけがでてくるから~。」と言いながら、私の後をついてきた。トイレに行った後、廊下の明かりをつけたままにして、私たちは部屋に帰った。寝室は、小さな電球にして、私たちは、布団の中に入った。

 「おじいちゃん、おばけ見たことある?」とそうたが言った。わたしは、半分寝ながら「あるで~。おじいちゃん、おばけと相撲したで~。そしたらおばけのほうが倒れて、泣いてしまってん。かけっこもしたで~。そしたら、おばけが途中でこけて、泣いてん。」と、たわいもない作り話をそうたに言った。「ふ~ん。いくつくらいのおばけ?」と言ったので、「そうたより小さかったで~。せやけど、みんな寝てるし、もう、早よ寝よう。」と言った。そうたの体が、すこし柔らかくなってきたようだった。手は、温かくなっていた。「おじいちゃんのように、ゆっくり息を吐きや~。」と2~3回したところで、そうたの体が柔らかくなって眠りについた。

 次の朝8時ごろ、そうたは目を覚ました。「お泊り成功。これで2回目」といって、おばあちゃんのいる台所にかけて行った。10か月ぶりのお泊りだった。 

 そうたにとって、りかことならお泊りできると思っていたようだ。そして、りかこがおばあちゃんの家に泊まるこの機会に、再度お泊りをしようと思っていたのであろう。ひとつずつ成功体験を積み重ね、そうたは、自信をつけようと思っているのだろう。   @家族 10


#子どもの成長記録

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