【面白数学】10-関数はfunction
「基本は大人になってから」
これは佐藤雅彦先生の『毎月新聞』におさめられている、あるコラムのタイトルです。
このコラムでは、円周率とは何かを先生の事務所の方つまり大人に教える、という場面が描かれています。
缶にテープを巻きつけ、ちょうどぐるっと一周したテープの長さと缶の直径をそれぞれ測ります。そしてテープの長さを缶の直径でわると、そう、3.14が出てきます。
「円周率って、円周の長さと円の直径との比率のことだったんですね!だから、円周"率"なのか!」
と事務所の方は驚きます。
とても基本的で当たり前に思えることですが、それが基本であることやその本来の意味に感じ入れるのは、実は、大人になってからなのではないかというメッセージをそのコラムは放っています。
佐藤先生の研究室時代、異なる事例で、まさにこの「基本は大人になってから」の体験をしました。
関数はfunctionです。
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僕は高校時代、数学が大の苦手でした。でも、大学で建築を学びたかったので、建築学科が数多くある工学部を受験するため、必死に数学を勉強しました。
関数の問題はたくさん解きましたし、関数とは何であるのかはわかっていたつもりでした。
それがあるアニメーションを見たときに、衝撃を受けるくらい、ああ、関数とはそういうことだったのかと得心しました。
そのアニメーションは、animation for concepts というNHKの特番で扱われたもので、プログラム、木構造、脳科学という概念をアニメーションで視覚化するという試みの中の一作品です。
そのタイトルを「functional arm」といいます。
百聞は一見に如かずで、まずはそのアニメーションを見ていただきたいです。
07:33あたりから始まります。
この点や線・図柄をトレースするとarmがfunctionして別の図が描かれるアニメーションを見たとき、今までぼんやりしていた関数の概念が急にわかったのです。
英和辞典でfunctionの意味を調べました。すると、やはり、機能や作用などの意味のほかに、【数学】関数、と書かれているではありませんか。
そして、高校時代に散々格闘した、f(x)のfとはfunctionであることもわかりました。そうか、これはxという値にあるfunctionをさせた値という意味だったのか、と。
きっと高校の教科書や授業でも、その本来の意味は出てきていたはずです。
でもそれは、そのときは、あまりにも基本的で最初のほうにさらっと、さも当たり前に出てくるだけなので、それが基本であることが認識、吸収できなかったのではないかと想像します。
「基本は大人になってから」
そう、まさにそうなんですが、とはいえ、中高生のうちに、この関数の概念の感動を伝えたいと、いつも、今でも、強く思っています。
そのアニメーションを目の当たりにした翌年、日常にひそむ数理曲線プロジェクトが起こります。そのとき関数はfunctionの見方が大いに役立ちました。
日常にひそむ数理曲線の話はまた今度。
そうそう、数学用語を英語で調べると面白いです。漢字で表現された数学用語は難しく感じますが、英語にするといたってシンプルということが多いです。お気に入りの用語は”imaginary number”です。この数学用語の英語のお話もまた今度。
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