インバウンド × アウトドアの時代が来る
涼しくなってきたなと思ったら、台風が来ていたり、よく分からない天気が続きますね。このまま、あっという間に2023年を迎えていそうで、時間の速さがバグってきている30代の始まりです。
前回は絶飯ロードSeason2のnoteを書きました:
ぜひ金曜日24:52~から、車中泊がテーマの深夜ドラマやってますので、ご興味ある方は観てみてくださいませ。(TVerでも過去回、見られます)
今回はまさにタイムリーな「訪日インバウンド」について、アウトドアの視点で、いま私が感じていることを記したいと思います✍️
2023年、訪日インバウンドが復活する
昨日の日経新聞で、岸田政権が、インバウンド復活に向けて、これまで開国のボトルネックになっていた、ビザ取得免除と個人旅行の解禁にも踏み切ることを発表しました。
もともと、旧安倍内閣が掲げた、「明日の日本を支える観光ビジョン」の「2030年の訪日外国人旅行者数:6000万人」という目標を、岸田政権は堅持する方針であることから、今回の水際対策の解禁に踏み切ったと考えられます。この歴史的な円安も好機と捉えたのでしょう。
しかしながら、2019年には3,188万人も訪れていた訪日外国人が、果たして以前のように戻ってくるのか。その鍵は一体なんなのでしょうか?
地域の受け入れ体制の課題
一方で、もともと日本全国の少子高齢化に伴い、観光産業を支える人口が減少していることに加えて、ここ数年間のインバウンド事業者の相次ぐ廃業に伴い、地域のインバウンドの受け入れ体制に課題があります。本課題については、観光庁が100ページもの資料を作成しているのでご参考までに。
そこで、まずは「食」= レストラン &「住」= ホテル の受け入れ体制を急速に進めつつ、いかに受け皿となる地域に負荷をかけない形で、訪日外国人を迎え入れる準備を整えていくか?が重要になるでしょう。
この点、個人的には、何から何までお客さまである訪日外国人に満足してもらうために尽くす"おもてなし"の観光から、訪日外国人が各々行きたい場所へ勝手に行ってもらい、日本を周遊しながら勝手に楽しんでもらえるかという"自由気まま"な観光へシフトすることが大切だと考えます。
インバウンド産業を支える労働人口の総数が、3年前から半減してしまっている以上、"人"が観光を支えるのではなく、"設計"が観光を支えることが必要になってくるというのが私見です。
ドライビングツーリズムの可能性
そこで、点と点を結ぶ旅ではなく、線や面で自由に旅することができる、ドライビングツーリズムは間違いなく、以前よりも注目を浴びるはずです。密や混雑を避けられる、非接触型の旅行手段ですし、すでにスマホにDLされているGoogleマップさえあれば、レンタカーを借りて、目的地まで向かうこと自体が、旅のコンテンツになりうるからです。
また、この2年間で世界中の人々のインドア化が加速した結果、より日本のアニメや漫画の作品に接する機会が増えました。代表作としては、日本らしい和の文化を表した「鬼滅の刃(Demon Slayer)」や、日本の自然の良さを伝える「ゆるキャン△(Laid-Back Camp)」などでしょう。
このようなアニメを通じて、日本へ訪れて、いわゆる"聖地巡礼"したいと考える訪日外国人も少なくないはずです。そんなときに、必ずしもすべての聖地が公共交通機関でのアクセスが良い訳ではないので、レンタカーを借りて気ままに聖地巡りをしたいと考える方が増えると予想されます。
アウトドアツーリズムの可能性
さらに、ドライビングツーリズムとの掛け合わせで、無限の可能性があるのが「インバウンド×アウトドア」の組み合わせです。
この2年間で、海外旅行が禁止された結果、日本と同じように、世界中でマイクロツーリズム(近隣への観光)が広まりました。そして、その手段の1つとして脚光を浴びたのが、密を避けながら、ありのままの自然を楽しめるアウトドアツーリズムです。
日本でも繁華街で飲食が規制された結果、キャンプ場やグランピング場でのBBQの機会が増えたり、「おうちキャンプ」「アウトドアサウナ」等のこれまでアウトドアに興味がなかった層を取り込むトレンドが生まれました。
これは日本だけに限ったことではなく、世界的に見てもアウトドアの市場は拡大し続けており、今後も2030年には現在の約2倍のマーケットサイズまで大きくなることが予想されています。
そのため、世界中で、自国でのキャンプ旅行に慣れ親しんだ訪日旅行者は、同じ旅行スタイルで日本でもアウトドアを楽しみたいと考えるはずです。
では、どのように"設計"すれば、インバウンド旅行者が日本でアウトドアを楽しんでいただけるのでしょうか。
アウトドアツーリズムの課題
「ドライブ」「アウトドア」を軸とした訪日外国人の消費者行動は予想しうるものですが、一方でまだまだ課題もいくつかあります。
温浴施設の課題
アウトドアとセットで考える必要があるのが温浴施設です。ホテルと異なり、野外で滞在する旅行者は、温浴施設で入浴することになります。
そこで、まず訪日外国人が日本人と同じように温浴施設を利用するには、まず言語の壁があります。特に施設利用券の購入方法や、入浴施設の利用のルールについて、地方の温浴施設では、まだまだ多言語化が進んでいない印象です。
また、未だに56%の温浴施設がタトゥーや刺青を入れている方の利用を禁止しています。欧米圏では、ファッションやアイデンティティのようにデザインタトゥーを入れている方も多いですので、日本と海外の文化の違いを受け入れた上で、ルールの見直しを進めることも重要に思います。
高単価なアウトドア施設が少ない
続いて、"ありのままの自然"を感じられるのがアウトドアの良さですが、一方ですべて自然任せという訳にもいきません。サービスの提供品質や、施設の維持費を踏まえると、一定の価格設定が必要になります。
この点、日本では比較的、アウトドアはお金がかからない旅行として認知されてしまっています。そのため、無料で滞在できる道の駅のような施設が充実している一方で、いわゆるグランピング施設のような、高価格帯でアウトドアを楽しめる施設がまだまだ少ないのが現状です。
この分野の国内でのパイオニアは、星野リゾートさまかと思います。
1泊1部屋15万円台のグランピング施設を提供できている事業者さまは、日本だと数少ないでしょう。自然を活用しながら、ホテルに負けない付加価値がある施設をつくることで、富裕層をアウトドアツーリズムに取り込めるのではないかと思います。
レンタルキャンピングカーの台数が少ない
最後に、これは自戒を込めた課題なのですが、日本はレンタルキャンピングカーの台数がとても少ないです。2021年時点では全国1,110台が、わナンバーとしてレンタカー登録されており、国内377施設しか店舗がありません。
しかも、このうちインバウンド対応しているのは38.9%しかなく、400台程度の車両のみが訪日外国人に提供できる状態になっています。
アウトドアと同様に、この2年間でキャンピングカー市場は世界的に伸びており、特に中国では、2020年から20211年にかけて、キャンピングカーの販売台数は、7760台から11360台に急増、前年比46.4%の増加となっており、過去最高を更新しています。
このように、自国でキャンピングカー旅をするようになった訪日外国人が、キャンプやグランピングと同様に、日本でレンタルキャンピングカーを借りて旅したり、トレーラー型のホテルに滞在したいと考えるニーズは今後もより高まっていくでしょう。
先日、静岡県御前崎市で仕事があり、約1週間バンライフしていたのですが、圧倒的に雄大な海を目の前にして、ここにもより多くのサーファーの訪日外国人が訪問してほしいと心から思いました。キャンピングカーなら、宿泊施設がなくても、自然の中で滞在することができますしね。
Carstayとして、レンタルキャンピングカーが少ない課題をクリアしていくと共に、キャンプ・車中泊できるスポットのインフラ拡充にも努めてまいりたいと思います。
以上、「インバウンド × アウトドア」について今考えていることをまとめたnoteでした。ここまでお読みいただきありがとうございました*
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以上、ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございました*
2022.09.16