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うつ病の磁気治療(TMS)を受けた時の話

磁気治療(TMS:Transcranial Magnetic Stimulation)は脳内の血流を良くすることでうつ症状を改善する治療法です。2018年に半年ほど磁気治療(以下TMSと表記します)を受けていたので、TMSがどういうものなのか、実際受けてみてどういう効果があったのかをお伝えします。

「磁気」というと、「本当に効果があるの?」とか、「もしかして疑似科学かな?」と懐疑的に思ってしまうかもしれませんが、実際に身体に与えられるのは電気刺激なんですよね。その仕組みについては以下で説明します。

・原理と特徴

磁気治療で用いられる装置の原理は、磁界の変化により発生する渦電流で脳を刺激するというものです。中学校の理科の実験でコイルの中で磁石を動かすとコイルに電流が流れるというものと同じ仕組みです。(ファラデーの電磁誘導の法則)

ファラデーの電磁誘導は、一言でいうと「磁界の変化が電流を生み出す」という法則です。

つまり磁気治療というと磁力で体に刺激を与えているとイメージしますが、実際に与えられているのは電流による刺激なのです。

TMSの装置は血流を良くするマッサージのようなものであり、機械を肩に当てると方の血流が良くなって肩こりにも効くらしいです。

磁気治療は人体を傷つけないという利点があります。電気を用いた治療法には、例えば電気けいれん療法があるのですが、これは全身麻酔や筋弛緩剤を投与するので身体に負担がかかる上に、過去数年分の記憶が失われるかもしれないという副作用もあります。それに対して磁気治療では麻酔や筋弛緩剤を使う必要がなく、身体への負担が少ないし、記憶が失われるという副作用もありません。

また、SNRIなどの薬物治療と異なり、TMSには離脱症状もありません。抗うつ薬を用いていると、薬を減薬している最中に再発するというリスクがあり、不安を感じますが、TMSではその心配もありません。

・実際の施術について

初回は、装置を適切な位置にセットするための準備をします。水泳キャップのような帽子をかぶり、微弱な刺激を与えながら反射的に動く右腕の反応を見て、適切な位置を見つけ、そこに印を付けてもらいます。

頭の左上あたりに機械を乗せて、そこから磁気刺激を出して脳内の狙った部分を刺激します。その刺激はパルス状で、20秒程連続して何回もパルス刺激したあと、20秒休止。そしてまた20秒程度刺激して、20秒休止という作業を繰り返して20分程行います。

初回から数回は連日で施術を行うことが推定されていて、それ以降は2週間に1回とか、1ヶ月に一回のペースで施術を受けることになります。

・施術の値段

私の通っていた都内のクリニックでは1回の施術は3500~4000円程度と比較的安い価格設定がされていました。おそらく保険が適応されていたのでしょうね。

・磁気治療を受けた効果と感想

受けたあとは脳がスッキリし、緊張が程よく解け、穏やかな気持ちに変わりました。施術後1週間は治療後の良い状態が維持されるが、時間が経つにつれて施術により良くなった状態から調子が下がっていく傾向があったので定期的に施術を受ける必要があるなぁと感じました。

TMSは頭に機械を当てるのですが、施術者の機械の当て方には差があり、上手い人が設置してくれると毎回同じ適切な位置が刺激されるのですが、あまりうまくない人が設置すると毎回違うところに刺激を感じたり、毎回強度がバラバラに感じられることがありました。施術者の人が言うには日によって感じ方に差が出るからあまり気にしなくていいとのことでしたが、上手い人が設置したらいつの日も感じ方に差はほとんどなかったので施術者の設置の上手さは大事だと感じました。

・まとめ

磁気治療(TMS)は人体を傷つけずに脳内を電流で刺激して、血流を良くする治療法です。治療効果は最初の数回の施術を終えれば、一回の施術ですぐに治療効果を実感できます。

うつ病の治療は、脳に働きかけるものとして主に薬物療法が使われていますが、薬物治療が苦手だったり、相性の悪い人には副作用も依存性もない磁気治療(TMS)が治療の選択肢の一つになり得るのではないでしょうか。


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