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【読書レビュー】芸術的創造は脳のどこから産まれるか?

メンタリストDaiGo先生のチームに加わった大黒達也さんの著書である「芸術的創造は脳のどこから産まれるか?」を読んだので本の内容や感想を書いていこうと思います。

本のポイント

■ 芸術の本質とは
芸術の本質は新しいものを求めることであり、自分だけのエピソードつまり自分らしさを体感していくこと

■ 創造的アイデアの作り方
グラハム・ワラスらによる創造性がうまれる段階
1.準備期:問題設定とその解決策の立案
  問題のゴールを設定し、様々な知識を駆使して論理的思考によって解決できるように努力する。

2.温め期:問題から一度離れる
  いったん問題から離れリフレッシュするような感覚を持つ。潜在意識の中で思考を熟成させる。

3.閃き気:新たな発想・解決策が突然降ってくる(アハ体験)
  突然創造的な解決策が降ってくる。このような現象をアハ体験と呼び、右の上側頭回からガンマ波がこれに重要な役割を果たしていると報告されている。

4.検証期:明確な思想の完成
  閃いた解決策が実際に正しいのかどうか確認する作業が行なわれる。準備期の思考が十分であればあるほど正確に検証することができる。

■ チャンク
記憶をする際に、脳は短期記憶→長期記憶へと情報を整理する。その際、関係性の高い情報は一つの塊として圧縮されて記憶される(これがチャンク)。最初は一つ一つ処理されていた情報がチャンクされることによって、一度の処理で情報を扱えるようになり、別の情報処理をする余裕が生まれる。
 例えば車の運転でカーブを曲がる時、最初は周囲の安全確認→ウインカー→ブレーキを踏んで減速→さらに周囲の確認→ハンドルを切る→アクセルを踏んで加速のようにそれぞれ意識して順番に行なわれる。しかし、チャンクによってこれらの一連の動作を無意識に行なうことができるようになり、加減速を調整したり助手席の人と会話をしながら運転したりする余裕が生まれる。
 行き詰まっていた課題が睡眠をとって次の日やってみるとあっさりクリアできてしまうという現象があると思うが、これはチャンクによって脳のメモリに余裕ができ、より高度な思考ができるようになったためと考えられている。

感想

芸術的とは今までにない新しさであるが、ただ新しければ良いというわけではない。人は予測可能つまり規則性があることで安心する側面もあるため、ある規則性を保ちながらも新しさを絶妙なバランスで取り入れ、安心と緊張が共存することが芸術的創造において重要である。
 美術館に行き、絵画やオブジェクトを見て何が美しいのか、どこが芸術的と呼べるのかいまいちわからないという経験がありますが、芸術とは新しさだと考えると面白い見方ができると思います。例えばルネサンス期の絵画なんかはそもそも聖書の内容を描くこと自体が当時としては新しいことだったり、絵のレイアウトが斬新だったりということで評価されているものが多く、納得感があると感じました。ダ・ヴィンチの最後の晩餐なんかは美しい描写というのはもちろん、全員の顔が見えるように配置しながらもユダ(裏切り者)の表情や行為を描くという構図が当時としては難しかったという背景があり、それを見事に描き切ったという新しさがあります。美術館に行く時は今の自分の頭にはないような新しさを探しに行くと面白い体験ができるのではないかと思います。
 また、AIによって最適化の技術が進む社会の中では、いかに創造性を発揮するかが重要になる気がしますが、創造性を発揮するためには論理的思考や知識のほかに、拡散思考や好奇心、内発的動機なども組み合わせて思考していくことが重要だということがわりました。

その他

英語学習は頭の中で翻訳するのではなく、英語の辞書を頭の中に作るようにするのが大事(マルチリンガルとモノリンガルの脳の違い)らしいです。日本語訳と対応させて単語やフレーズを学ぶのではなく、実際にフレーズを使う(話す)ことで英語を身に付けるのが良いということが改めて理解できました。


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