2010.12.31 未明
確かに私は眠っていた・・・はずだった。
突如、胸焼けで目が覚めた。
ムクッと上半身を起こし、シュラフに入れているお湯のボトルをゴソゴソと探す。
なんだか、めちゃくちゃ気持ち悪いぞ。
手に取って、口に含んだ瞬間だった。
まるでマーライオンのように、吐いた。
三回。
全く抵抗することができず、床に胃の内容物をすべて吐き出してしまった。
びっくりした。
あまりにもびっくりしすぎて放心していると、ニマさんがびっくりして飛び起きた。
「コウキセンセ、大丈夫?いまラクパ呼んでくるから!」
隣室で熟睡していたラクパさん、たたき起こされ見たものは・・・
そう、私が吐き出した超大量のゲロ。
こんな極悪な起こされ方は、そうないはずだ。
それでもラクパさんは、全く嫌な顔せず、
「コウキサン、ダイジョブ??」
私を心配しながら、黙々とゲロを拭き取ってくれた。
サイアクだった。
穴があったら、そこに思いきり突っ込んでくれ!そんな気分だ。
体調悪化は想像以上だった。
頭痛がないので、高山病とは断定できないが、熱は高かった。
この原因不明の体調不良により、今後の行程が一気に白紙になってしまった。
ニマさんは、
「こんなんじゃ、もう先に進めない。登頂は諦めよう。絶対ムリだよ。引き返そう。」と、絶望感たっぷりの言葉を次々に浴びせてくる。
目の前で、こんな大量に吐かれたら、そりゃそうだ。
一方、ラクパさんは、私の様子をじっと伺っている。
とりあえず、朝起きてから決めようと、ラクパさんは言い残し部屋を出て行った。
高熱でしびれる身体を横たえ、
自分の弱さに激しい怒りと悲しみを覚えながら、
シュラフに包まって、朝日を待った。
つづく