25年前に買ったTシャツ
高校1年生のとき、オーストラリアに住んでいました。
今から25年前になります。
色々な意味で人生のターニングポイントになった豪州での生活。
以前、noteにも高校生活について書きました。
日常的に差別を経験し、大変な思いもしました。
私が住んでいたのは、ブリスベンから約100km内陸に入った、Gattonという田舎町でした。
当時、日本人は住んでおらず、そうした環境が差別を助長させたのかもしれません。
一方、ブリスベンは、オーストラリア大陸の北東部に位置するクイーンズランド州最大の都市です。
私の家族も、週末にはよくブリスベンに出掛けました。
私の家族が好きだったのが、日曜日に街の中心部に大きなテントが立ち並ぶ蚤の市。
SUNDAY MARKETSです。
いつものように、何か面白いものを求めて出かけたマーケット。
後の人生を大きく左右する原体験が待っているとは、このときは知る由もなかったのです。
家族でぶらぶらマーケットを歩いていたその時、
あるブースが強烈に目に飛び込んできました。
厳密にいうと、ブースに売られているTシャツの柄が目に飛び込んできたのです。
それが、これ。
当時、オーストラリアの若者に絶大な人気を誇っていたサーフィン&ストリート・ブランド「mambo」のTシャツです。
改めてそのブースを見ると、そこには「GREENPEACE」の文字が。
そこは、国際環境NGO「GREENPEACE」のブースでした。
よく見ると、Tシャツは、「mambo」と「GREENPEACE」のダブルネームでした。
タグもしっかりGREENPEACEの文字が入っています。
素材は、100%無漂白コットンです。
私の通っていた高校でも、「mambo」は大流行していたため、珍しいこのTシャツをねだって父に買ってもらいました。
そのとき、GREENPEACEの活動を知ることとなり、それがきっかけで環境問題に関心を持つことになりました。
結果、大学では地域環境学科に進み、大学院では酪農の現場から排出される雑排水の浄化処理が研究テーマになりました。
環境問題は思っていた以上に複雑に人間社会(利権)と絡み合っており、研究すればするほど、自分の無力さを痛感していました。
極論ですが、「この地球からぼくら人間がいなくなることが、一番環境に負荷のかからない選択肢だ」と思ってしまったぐらいです。
そこから、また時は流れ・・・。
先日、『一万年の旅路』の翻訳者で、グリーンピース・ジャパンの事務局長を務めていた星川淳さんと出会い、ふとこのTシャツのことを思い出しました。
星川さんは、馬毛島基地(仮称)建設事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書をまとめるなど、今もご自身の信念のもと精力的に環境活動を続けています。
GREENPEACEの活動には賛否両論あります。
私自身もGREENPEACEの活動に寄付(このTシャツ以外で)をしたことはありません。
でも、私にとってこのどぎつい金魚のTシャツは、環境問題に関心を持つきっかけと、人生の方向性を決める大きな原体験となりました。
今は、自分が実際に目で見たことや、感じたことを踏まえ、環境問題に対して自分自身にできることを選択しています。
「地球温暖化はウソだ」
というネットでの言論も目にします。
私には、今の地球の状態が温暖化なのか、氷河期の入り口なのか、正直分かりません。
でも、ヒマラヤの氷河がこの数十年で急速に消えている現実は実際に見てきました。
ここ北海道の気候も、ここ数十年で温暖になっていることも間違いありません。
1960年年間の平均気温が7.6℃だったのに対し、2010年代では8.9℃まで上昇しています。
1000年単位、万年単位での地球活動を見て、CO2が温暖化の原因ではないという言説もみます。
確かにそうかもしれませんが、万年単位で見ても、億年単位で見ても、かつてこれほど単一の生物が科学を発展させ、地球に負荷をかけている前例がないこともまた確かなのです。
GREENPEACEも一部過激な活動や資金繰りで非難を浴びていますが、そもそもこうした国際組織が過激に存在するほど、私たちの環境問題は深刻化しているということも忘れてはなりません。
個人的には、環境NGOもエコロジカルな活動をPRする企業も、みんな同じだと思っています。
環境問題の解決に必要なのは、哲学と倫理学だと思っています。
それにしても、このTシャツ。
驚きのデッドストック(未着用)なんです!!
1990年代の「mambo」のTシャツは、現在海外でかなり高額で取引されているようで、特に「GREENPEACE」とのダブルネームは中古でもかなりの金額になっています。
星川さんとの出会いから、Tシャツを思い出し、実家に問い合わせたところ
「あったよ」
と母からLINEが。
すぐに送ってもらい、その状態の良さに感動・・・涙。
自分の物持ちの良さにウハウハしていたら、母からLINEで
「いつか返してね」
とのメッセージ。
え、なんで?
オレのものじゃん。
???
一枚のTシャツをめぐって、ここにも小さな利権の争いが起きているのでした。