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パーパスモデル 人を巻き込む共創の作り方

事業でも、プロジェクトでも、タスクでも多くの人が関わり試行錯誤してそれらを進めていく中で短期的な成果を求められたり、色々意見が飛び交い方向性が見えなくなったり、議論の中で空中分解したり、「あれそもそもなんでやってるんだっけ?」と案外目的を失うことも多くない。
いやそんなことが99%だろう。

そんな時この本を読んでパーパスを中心に考えたりそもそもの目的を整理するのは多いにありだ。

共創きょう‐そう〔‐サウ〕【共創】
[名](スル)異なる立場や業種の人・団体協力して、新たな商品・サービスや価値観などをつくり出すこと。コクリエーション。

goo辞書

「共創」という言葉は、ビジネスや組織の文脈でよく使われるコンセプトで、「共に創る」という意味があります。特に以下のような場面で活用されます。

1. 顧客との共創目的: 顧客のニーズを深く理解し、一緒に価値を生み出す。
例: 製品開発におけるユーザーインタビューやアンケートを通じて、新しい機能やサービスを共同で考案する。


2. パートナー企業との共創目的: 各社の強みを活かし、独自の価値を提供。
例: IT企業と美容クリニックが協力して、デジタル技術を活用した新しい予約システムを開発。


3. 従業員間での共創目的: チームの多様性を活かし、創造的なアイデアや解決策を生み出す。
例: ワークショップやブレインストーミングを通じて、新しいマーケティング戦略を策定。


4. 地域コミュニティとの共創目的: 地域社会の課題を解決しながら、企業の存在価値を高める。
例: 地元の人々と協力して、エコフレンドリーな商品の販売促進活動を展開。


共創を成功させるためのポイント目的の共有: 関係者全員が同じ目標を理解し、それに向かって取り組むこと。
コミュニケーション: オープンで透明性のある対話を重視。
信頼関係: 長期的な協力関係を築くために、お互いを信頼する姿勢が重要。
柔軟性: 変化に対応できる柔軟な考え方と姿勢。


「共創」を取り入れることで、単独では得られない大きな価値を生み出し、関係者全員に利益をもたらすことができます。

chatGPT

さて「共創」ってそもそもなんだ?
この本では「社会課題の解決を目指し、多様なステークホルダーが自分たちの領域を互いに一歩踏み出して、知を組み合わせることで、新たな価値を創出することである」と定義している。

さらにその「共創」を作るための設計図こそが「パーパスモデル」なのである。

パーパスモデル:パーパスを中心とした共創プロジェクトの設計図
パーパス:より良い社会を実現するための行動原理

パーパスモデル p14

第1章~第4章まで章分けされているが
前半はパーパスモデルの理解、19このプロジェクトを事例を紹介。

パーパスモデルを使っていただいている大学教授がパーパスモデルは「建前」と「本音」を一緒に書けるのがポイントだと指摘してくれた。
これまでの失敗事例の多くが、なんとなく耳障りの良い共通目的の下にステークホルダーが集まって、いざ本腰を入れて取り組む段階になったら「やっぱり…」「実は…」と異論が出て取り組みが進まなくなることが起こるのだという。

パーパスモデル p29

あるあるあるあるあるあるある笑笑ありすぎて笑う
実際仕事(少なくとも僕が関わる)なんて「建前」で進むことが99%いや100%かな。それは共通目的が整理されてないのが課題。

さらにこう続く

パーパスモデルに「共通目的」だけでなく、「それぞれの目的」があるのは、まさにこの「本音の部分」、つまり自分や自組織のためになることはなんなのかを、ステークホルダー間で共有する必要があるからだ。

パーパスモデル p29

目的と役割を整理するの大事。

事例も19とかず多くあり、
いくつかの事例を気になった項目をピックアップしていきたい。

BONUS TRACKのパーパスモデル

従来、まちづくりはトップダウン的に開発する企業や行政が主導して進められてきた。しかし住民やそこで働く人の想いが汲み取られないまま開発が進むと、その場所の歴史や文化的価値が損なわれて、地域との摩擦が起こる

パーパスモデル p82

「支援型開発」を行うことで解決したそうだ。
都市型ビジネスや地域コミュニティを運営する上で利益ばかりに目が眩み
優先順位が下がってしまいがちなのが「地域住民の想い」や「地域カルチャー」そこを地道に実直に説得し最終的には住民が手をあげて協力して作り上げたのが強いよね。

High Lineのパーパスモデル

Where Commerce Once Ruled, New Yorkers Walk and Wonder
ダイナミックな都市を体感させるNYの空中庭園、ハイラインはなぜこれほど成功したのだろう?

1934年から貨物列車が運行されていたが1980年に廃止されたここは長らく放置され、1990年には廃墟跡の撤去が決まっていたそう。
そこを若者2人がNPOを設立し今の形に至ったと言う。
募金など地道な活動もあるが大きくレバーとして作用したのは一流のカメラマンによる写真集だったと。
今ではドロップインで気軽に運営に参加できる運営管理だったり、メンバーシップの権利を他人にプレゼントできる方式だったり今風な運営体制も整えられている。
「関わる市民の多さ」というスコープを通して見ると、まさにただの歩道や公園ではなく、「生きたコミュニティ」ということが見て取れる。

なかでも僕が多分何回も読み直すだろうなと思ったのが第3章「より良い共創を実現するためのポイント」

1.共通目的をどう考えるか?
2.誰をどう巻き込むか?
3.活動をどう広げていくか?

パーパスモデルを実践するための指南章だ。

目的工学をベースに目的には階層がある。

小目的は個人や個々の組織の利己的な動機、
大目的は社会的な意義や大義、そしてそれらを繋ぐレンズのようなものが中目的であり、これが事業・プロジェクトを動かす

パーパスモデル p124

大目的だけでは「ふーんそうなんだ、でも私には」と自分ゴトかしづらい。小目的では「これだけこの領域だけ、短期的な利益のため」と自分ゴト化しすぎて中長期の目的が失われてしまう。
中目的を設定することで初めて「私たちゴト化」できるのであろう。

共通目的は「誰が」「何をどのようにして」「どんな状態にするのか」
これらを言語化していくことで、共通目的の解像度が一段階あがり未来にどんな状態を目指していくかを具体化することができる。

宗像国際環境会議:海の環境問題を、立場を超えた人々と可視化することで共通認識をつくる
Dove:美の認識を変え、自己肯定感を高めることで、人の本来の力を発揮させる
Waag:市民がテクノロジーの扱い方を身に付け、自らの生活を自らの手で動かす

パーパスモデル p132

と「マテリアリティ・マップ」というフレームワーク。
自社にとっての重点テーマを配置した地図。


自社にとって重要で自社を取り巻くステークホルダーにとっても重要なのが図の右上に配置される。社会全体の方針と個別の事業やプロジェクトにズレが発生しないようにすることも重要。

「パーパスモデルを時系列でみる」
という項目もかなり興味深かったので後日書く。

共創には「主体性」が重要だと思う。
共創に取り組む前に、そもそも自分は何を大切にしたいか(何をしたいか)と行動(何をするか)がつながっているかを意識したい。
想いと行動が自分の中でつながっているとき、内発的動機が生まれ、主体性を持って活動できるのだ。
また自分の想いと社会のパーパスが一致していることもとても重要で。
目の前の課題を突き詰めていった先に社会課題につながることもある。個人と社会のつながり方は様々だけど、まず実践していきたいのは、自分を社会のつながりを意識すること。

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