長男の一人暮らし。母親の気持ち。
この春から、長男の一人暮らしが始まった。
念願だった大学に合格、やりたがっていた一人暮らしだ。
場所は、ここから遥か遠い。
ドアtoドアでも半日近くはかかり、飛行機が必須である。
合格発表後、部屋の契約、家具の取り揃え、合格後の手続き等、慌ただしい中で感情をじっくり見つめる時間もなく、あっという間に旅立つ日になった。
その前日、携帯でみんな揃った写真を撮った。
長男は私の肩の後ろから手をかけてきてくれた。
下の子たちも勢揃いの、恥ずかしそうな、寂しそうな、でも楽しそうな写真。
翌朝早く、駅まで見送った。
自由に使うお金を少しだけ渡して、思わず言葉に出てしまった。
「行かないで。」
数日前から、「俺が行く時、悲しくて大暴れしそうで怖いわー」と、長男はふざけてそう言っていたけれど、自分の口から出てきたのは、思いの外素直な言葉だった。
「頑張って。俺も頑張るから。」
そう言って、手を握ってくれた。
手で顔を覆って泣いてしまった。
長男が一人暮らしを始めて、一ヶ月が経った。
行く前は、今まであの子と一緒にいた毎日が恋しくて、寂しくて寂しくて仕方ない日々を過ごすんだろう、母親ってそういうものなのだろう、と思っていたが、そうではなかった。
あの子は寂しくしてないかな。
お金はあるのかな。
ご飯ちゃんと食べられてるかな。
そんな事ばかり思うのだ。
ああ、そうか。
母親って、こういうものなのか。
そんな風に感じている、ここ最近。
長男よ、母もみんなも元気だよ。
早く会いたいよ。
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