10代でみにつけたい夢を叶える食事

第1章:鏡の中の私

給食の時間

「美月、最近元気ないよ?」

親友の香織が心配そうに覗き込んでくる。給食の時間、私は今日もまた、おかずをつつくばかり。

「ううん、大丈夫だよ」

そう言いながら、私は教室の後ろの席にちらりと目を向けた。タケルくんが友達と楽しそうに話しながら給食を食べている。背が高くて、バスケ部で活躍していて、成績もいいタケルくん。最近、その姿が妙に気になって仕方がない。
でも―。
「美月、ご飯残すの?」

香織が不思議そうな顔をする。確かに、私は食べることが大好きな子だった。特に給食は、いつも「おかわり組」の常連だったのに。

「ちょっとお腹いっぱいだから...」

嘘だ。むしろ、お腹はペコペコ。でも、この前の出来事が頭から離れない。

あの日のこと
放課後、いつものようにパン屋さんに寄った帰り道。大好きなメロンパンを頬張っていた私の前に、突然タケルくんが現れたのだ。

「あ、渡辺さん。帰り?」

何気ない言葉だったはずなのに、私の頭の中は真っ白になった。好きな人の前で、こんなにがつがつとパンを食べている姿を見られてしまった...。

その夜から、私は鏡を見る時間が増えた。身長157cm、体重54kg。周りの女子と比べると、少し太めかもしれない。タケルくんは、きっと細くてかわいい子が好みなんだろうな...。

食事のたびに、罪悪感が押し寄せるようになった。

保健室にて
「渡辺さん、具合悪そうね」

3時間目の体育の途中、めまいがして保健室に来た私を、木村先生が優しく迎えてくれた。
「最近、お昼ごはんちゃんと食べてる?」

「え...?」

「香織さんが心配して、相談に来てくれたのよ」

木村先生は、私の体温を測りながら静かに話を続けた。

「美月さん、今どんな気持ちなの?」
その言葉で、突然涙が溢れてきた。タケルくんのこと、自分の体型のこと、食べることへの罪悪感...。全部話してしまった。

「そうだったのね」
木村先生は優しく微笑んで、近くの本棚から一冊の本を取り出した。

「これ、読んでみない? 実は私も、学生時代にとても似た経験をしたの」

「10代でみにつけたい夢を叶える食事の本」より

(木村先生からのメッセージ)
美月さんへ。
あなたの今の気持ち、とてもよく分かります。好きな人ができて、自分のことが気になり始めるのは自然なことです。でも、覚えていてほしい大切なことがあります。

あなたの身長と体重は、成長期の女子としてとても健康的な範囲なのです。今のあなたは、心も体も大きく成長している大切な時期。その成長のために、栄養バランスのとれた食事が必要です。

空腹は私たちの体が「栄養が必要」というサインを送っている合図。それなのに食事を制限することは、あなたの可能性を制限してしまうことにもなりかねません。

もし、今あなたが、自分のことを好きになれないと思っているのなら、こんな風に考えるといいかも。

あなたは、あなたが食べたものでできている。
だから、あなたが食べるそのひと口ひと口を、どうか大切に味わって食べて。

今の自分を好きになれないと感じていても、だいじょうぶ。
あなたが大切に味わって食事をたべるその、ひと口、ひと口で、あなたは少しずつ生まれ変わっていく。

食べ物を敵にするか、あなたの味方にするかは、あなたが決められることなんだよ。


その後の給食時間

「これ、美月の分!」
香織が、大好きなカレーのルーをよそってくれた。

「ありがとう...」
少し照れくさそうに、でも嬉しそうに、私は給食を口に運んだ。
「あ、美月、久しぶりに食べる!」
「やっぱり給食って美味しいよね」
温かい食事が体に染み渡る。気がつけば、タケルくんの姿を気にすることも少し減っていた。

ある日の帰り道、タケルくんが話しかけてきた。
「渡辺さん、最近元気になったよね。なんか、笑顔が増えたっていうか...」

その言葉で気づいた。大切なのは、自分の体型を変えることじゃない。
健康的な自分でいることが、一番なんだ...。

今日からできること

朝起きたら、鏡の前で「おはよう」と笑顔で自分に挨拶

食事の前の深呼吸で、心を落ち着かせる
「いただきます」を心を込めて
一口一口、味わって食べる
食事中は楽しい会話を心がける
「ごちそうさま」で、食事に感謝

あなたも、あなたらしい魅力を見つける旅を始めてみませんか?


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