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「タレントマネジメントシステム」活用の目的を明確に定義し、経営層への上申とスムーズな承認を実現
新規にシステムを導入する際、経営陣への上申は大きな関門となる。同社では、人事部が主体となり「タレントマネジメントシステム」の導入準備を進めていたが、導入目的や効果の整理に時間がかかっており、なかなか社内承認を得ることができなかった。そこで漠然としていた目的の明確化や、施策の具体化へのアドバイスをおこない、上申・承認へとつなげた事例を紹介します。
Point1:タレントマネジメントシステム導入により見込める成果やその必要性、具体的な取組施策を整理。経営陣にシステム投資の効果が伝わりやすいような上申資料の作成を支援し、承認まで伴走。
Point2:つ組織・人事戦略とテクノロジー双方の豊富な知見や過去の豊富な事例、そして独自のフレームワークを活用することで、関係者が導入後のイメージを共有できるように工夫。
お客様の課題
全国に拠点を展開する同社では、人事機能の高度化や効率化のために「タレントマネジメントシステム」の導入を計画しており、ベンダーの選定もしていました。しかし経営会議で上申をしたところ、導入そのものが目的かのように捉えられてしまい、承認が下りなかった。経営陣もタレントマネジメントの推進自体には前向きだったが、その方針が事業上の目的や具体的な計画に落とし込まれていないこと、また、システム投資に見合った効果を明示できていなかったことから、再度計画を練り直すことを求められていた。
コンサルティングの内容と効果
最初に、漠然としていたタレントマネジメントシステムの導入目的を、大きく2つに定義。ひとつ目は、「人事データの利活用」、ふたつ目は、タレントマネジメントシステム利用による「人事施策の高度化と効率化」。それから、各目的において、具体的な取り組みや期待できる成果に落とし込んでいった。まず「人事データの利活用」では、同社が保有している人事データを棚卸しし、人事領域ごとの課題認識や取り組み内容を踏まえた上で、モニタリングする指標を議論。どのような人事データから組織の状態を捉えていくのかを決定。続いて「人事施策の高度化と効率化」では、独自のタレントマネジメントフレームワークを用いて、課題やニーズを整理し、タレントマネジメントシステムを活用して取り組む施策を検討しました。こういった体系的で具体性のある根拠をもとに再度上申をしたところ無事承認され、予定していたタレントマネジメントシステムを導入を実現。
アプローチ1:人事データの棚卸しをおこない、組織の状態を「ファクト」ベースで捉える
タレントマネジメントシステムの導入により、人事データから組織の状態を効率的に捉え、採用や配置などさまざまな人事施策に活かすことが可能となる。とはいえ、実効性のある施策を立案するには、そのための人事データが取れている必要があり、実際にシステム導入後に実現ができるのか精査をすることが大切。そこで、まずは同社が保有する人事データの棚卸しと整理をおこなった。次に、各人事領域の課題や他社事例を踏まえつつ、導入予定のタレントマネジメントシステムでの実現可能性や実現方法について確認・検討を行った上で、モニタリングする指標を決定。組織を「ファクト」ベースで判断できる状態にしたうえで、実現する施策案を具体的に詰めた。
アプローチ2:独自のタレントマネジメントフレームワークで、課題やニーズを整理
人事機能の高度化や効率化を図るためには、タレントマネジメントシステムを活用して取り組むべき施策を包括的に検討・整理する必要がある。そこで、オリジナルのタレントマネジメントフレームワークを用いて、現状どのような課題感があり、どのようなニーズがあるのかを明らかにした。このフレームワークでは、現状と期待値のギャップを見える化し、そのギャップを埋める施策を検討することが可能。しかし今回のケースではそこまで行わず、現状把握と課題・ニーズの整理に利用しました。そこから取り組むべき人事施策をピックアップし、実現可能性を考慮の上で優先順位付けをおこなった。