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『恐縮です』梨元勝さんから学んだこと

今日の私があるのは梨元勝さんと仕事をご一緒したからです。梨元さんは晩年、携帯サイトを活動拠点にしました。私はサイトの立ち上げ時に編集長として携わり、その後編集長を外れた時期もありましたが2010年に梨元さんが旅立ったあと復帰してクローズまでの約10年、サイトの歴史を見届けました。梨元さん、テリー伊藤さん、東海林のり子さんのお三方をパーソナリティーに迎え最盛期は5万人を超える会員がいて運営会社の基幹事業でした。

梨元さんは芸能リポーターの草分け的存在として人生を駆け抜けました。万人に好かれる仕事ではなく敵も多かったでしょうし嫌う人も多かったことと思います。昭和の昔は芸能リポーターとタレントが持ちつ持たれつで芸能界を賑わせましたが梨元さんも最前線で時代の変化を感じ取っていたのでしょう、ある日移動の車中で「志和ちゃん、この仕事(芸能リポーター)は俺らの時代で終わるから」とポツリ漏らしたことを覚えています。

私は梨元さんから教わったことがたくさんあって、その中で今も自分に言い聞かせ続けていることが「勘違いするな」ということです。

芸能界はブランドの世界。ブランドになった人がたくさんいて、ブランドにへつらう人もたくさんいます。梨元さん自身も芸能ニュースを報じる側のブランドでした。でもどんな職業でも調子に乗って「勘違い」したら成長は止まります。梨元さんは何かいいことがあるたび「勘違いするな」と諭してくださいました。おなじみの「恐縮です」というフレーズにもそんな自戒の念が込められていたと感じます。梨元さんはあのフレーズを仕事の時だけではなく、タクシーの運転手さんやわれわれスタッフと食事に行った先の店員さんに対してなどプライベートの場でも使っていましたから。

梨元さんは24時間「梨元勝」として生きていらっしゃるような方で他にもさまざまなことを教わりました。当時の私は編集のリーダーとしては力量不足でした。個性派揃いで素敵な人たちが集まったチームを大事にリードできなかったことは後悔していますし、今もみんなの顔が夢にフラッシュバックします。スマホ普及の影響があったとはいえ梨元さんが残したサイトを延命できなかった責任も感じています。でもそんな経験があったからこそ「勘違いするな」という言葉がより身にしみるのかもしれません。

今日、SNSはブランドだらけ勘違いだらけのように見えます。称賛を受けたがる人がたくさんいて、称賛をしたがる人もたくさんいます。確かにブランドになれた人は素晴らしいし称賛を受けるに値するかもしれませんが、人の価値はそこで決まるわけではありません。

私は自分を見失わず、残りの人生をまっとうしたいと思います。

立ち上げ時、群馬で合宿
AKB48劇場で取材
スクープを取るとインセンティブ


お別れの会で

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