角打ち番外編「あのころ恵比寿で」2
これはもう洋風の角打ちやぁ~って
「スチュワーデスの店」のテーブルは
ワインの木箱を重ねただけのシンプル一点張り。
壁は不思議なことに、スポンジをたっぷりと仕込んだような
フワフワのクッション貼り。
「もしや喧嘩になって壁にぶつかっても大丈夫なように?」
なんて乱暴な想像をしてしまったものです。
椅子はありません。これぞ角打ち王道、立ち飲みスタイルです。
スマホもないのにサブスクリプション
お会計は王道のキャッシュ・オン・デリバリー。
一杯が500円程度だったように記憶しています。
お得な10枚綴りのチケットもありました。
「チケット?」と思われた方へ。今でいうサブスクの紙版です。
10枚分の料金で11回分使える、という仕組み。
なにしろスマホのない時代ですからね。
必要な分だけチケットをちぎって渡す、
シンプルな方式でした。
気取らず、騒がず、流されず
お客さんは20歳以上の男女さまざま。
サラリーマン、公務員、金融系、カタカナ系、士業と多彩です。
基本的にお一人か二人組。
はっきりした会計システムと立地柄か、
欧米系のお客さんも多く見かけました。
夏はドアを開け放し、冬はコートを着たまま。
それぞれが自由にその時を楽しむ。
まさに洋風角打ちそのものでした。
「酒は学校だよ」 by 開高先生※
自分との対話であったり、隣り合わせた人との一期一会の会話であったり。
「スチュワーデスの店」では、思いもよらない大切な気づきに出会いました。
常識を覆すような発想や、異なる価値観との出会い。
「そういう見方もあったのか」「こんな考え方もありだよね」。
数えきれない気づきに恵まれました。
その媒介となったのは、ワイン、スコッチ、ジャパニーズ、
アメリカン、アイリッシュ、カナディアン、ウォトカ、ジン、
そしてカクテル類でした。
※サントリーの広告キャッチコピーです。
開高健氏の言葉と思っていましたが、
コピーライターの佐々木克彦さんが
開高先生になりきって書いたという説も。
こんなお店ご存じありませんか?
ワインバーというと、おしゃれなお店が多いようです。
それもいいのですが、仕事帰りや食事前に気軽にワインを楽しめる、
そんなお店。もしご存知でしたら、ぜひ教えてください。
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