第6回「お坊さんがお坊さんに注力できるように」
長野県塩尻市の善立寺副住職と郷福寺副住職の仲良しおじさん僧侶2人による交換日記
今どきのお坊さんがこれからのお寺について色々考える話(仮)
↓前回はこちら↓
今回で第6回目!
白馬さんからのご質問
Q:そんな先代さまから今のご住職さまへと、善立寺さんの法灯が継承されています。そしていつか、私たちも住職として晋山するときが来ます。どんな住職になっていきたいですか?
「次の世代に笑ってお寺を譲れる住職になりたい」
が私の理想です。
住職=宗教法人代表役員
「住職」って前回、白馬さんがお話してくださった「いいお坊さんとは」に加え、宗教法人であるお寺を末永く運営していかなければならない。という役割がありますよね。
早くに住職になった友人からは「住職になるとなかなか外に出れないから、副住職のうちに色々な活動しておいた方がいいよ」とアドバイスをもらいました。
確かにそうで。私もコロナ禍までは、ときおり上京して、お坊さん向けITセミナーを主催したり、IT企業とお寺向けソリューションについて話し合ってきました。
と、同時に「住職になったら東京に行くような活動できないだろう」とも感じていました。
住職はプレイングマネージャー
マネージメントしつつ、プレイヤーとしても第一線で活動する。
住職はご葬儀や法事を行う以外にも、檀信徒の顧客情報管理(CRM)、税務書類の作成、墓地管理なども行わなければなりません。
また、これからの弔い方に対応するため、永代供養墓や納骨堂、ペット納骨堂等を新設するなら、銀行からの融資も必要になる場合も。※担保を持たないお寺はなかなか融資してもらない。。。
更に現代では、お寺の公益性が重視され、社会福祉活動やボランティア活動など、社会貢献活動も積極的に行う必要があります。
また、地域社会においては民生委員や保護司、教誨師などを務められる方も大勢います。
そういったことを24時間365日、何十年も行っていきます。
さらに過疎化が進む地方では1人のお坊さんが5つのお寺の住職を兼ね、その維持管理に奔走している現実。
こういったお寺の現実を知る若い世代が僧侶の道を選ばなくなり、少子化との合わせ技で、後継者不足も深刻です。
これからは経営を存続させるため経営ポートフォリオを眺め、宗教活動以外での収益を考えないとやっていけない時代になるかもしれません。
一般の方が想像する、坊さんは外車乗り回して、左うちわに両手に華な“坊主丸儲け“の世界は、私にとっては、彼岸より更に向こうの世界で、蜃気楼ですら見えません。
人口自体も減りますし、更にはこのコロナ禍。。。
お寺を取り巻く環境は年々厳しくなる一方ですよね。
どんな住職になりたいか。は、どんなかたちで次世代にバトンを渡したいか。
厳しい時代だからこそ、お寺の経営に頭を悩ませるのは私たちの世代で最後にしたいです。
そんな想いお寺のIT、DXについての活動をしています。
↓こういうやつ
これについては、私が住職になっても続けていかないといけないなと想っています。
50年前まで珍しかった自動車が、今では、皆が扱い、今から振り返ると「徒歩なんてありえない!」と思うように。これから50年後、「え?先代、そんなことも自分でやってたんですか?」と言われるようにしたいですね。
そして、次世代のお坊さんに法灯のバトンを渡すときに
「お寺、大変やで。。。」ではなく、
「お寺楽しいよ!」「お坊さん楽しいよ!」と言って、お寺を譲れるようにしたいです。そんな住職になりたいです。
白馬さんへの質問
マックス・ウェーバー著の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」によると、資本主義が成立する過程で、キリスト教のプロテスタント精神が大きな影響を与えた。という説があります。
確かに特定メーカー製品が好きな人を”信者”と呼んだり、”布施”と呼んだり、最近ではオンラインサロンなどのコミュニティを”宗教”と呼んだり。
宗教と経済って思想が近いですよね。
Q:信州大学大学院で経済学を専攻されていた白馬さんに一度聞いてみたかったのが宗教(仏教)と経済について、似てるよね。と感じたところや、違うわと思ったことを教えてください。