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コンフォートゾーン(心理的快適領域)を超えて学ぶこと
今回は心理学ではおなじみのコンフォートゾーンと学びの段階的成長過程について綴ります。医療専門職は生涯に渡って学び続ける生涯学習を行う必要があることは医療技術や知識の頻繁なアップデートに対応しなくてはならないことからも明らかです。10年前の常識は現在の非常識なんてこともあります。
成長のためにはぬるま湯につかっていてはならないという職人気質で前時代的と捉えがちな考え方は心理学の観点から説明がつくようです。
コンフォートゾーンとは
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「コンフォート・ゾーン」という言葉は、経営思想家のジュディス・バードウィックが1991年に発表した著作『コンフォート・ゾーンの危険』の中で用いた造語が初出のようです。
快適領域
安全
制御可能
コンフォートゾーンとは、あなたが安心してコントロールできると感じる場所を意味します。慣れ親しんだ仕事やルーチンを使い、すでにマスターしたスキルを使って仕事をしている状況を意味します。コンフォートゾーンは安全な空間ですが、ここに長く居すぎると成長や可能性が制限されてしまいます。
そして私たちの多くはしばらくすると少し退屈になります。
恐れ領域
他者の意見に影響を受ける
言い訳を探す
自身が無い
退屈を覚えて次のステップに移ると環境の変化から恐怖を覚えます。これが恐怖ゾ
ーンです。新しい環境、新しい知人・同僚・仲間、新しい言語、新しい学問などこれらすべてが恐怖の源泉となります。恐怖ゾーンを避けるための行動として最も多いのが「言い訳を探す」ではないでしょうか。新年からがんばる、お金さえあれば、毎日の業務で時間がない、などよく聞かれますがそれらには解決方法があるかもしれません。
学び領域
挑戦と問題解決に取り組む
新しいスキルを身につける
快適領域(コンフォートゾーン)を拡大する
しかしその環境の中で切磋琢磨し努力を続けると能力向上に至ります。その領域を学びゾーンといいます。学びゾーンではこれまで恐怖を感じていた要素から多くを得ると同時に恐怖を感じる対象ではなくなっていくことを意味します。成功体験が積み重なることで挑戦することを厭わず問題解決能力も向上するでしょう。これまで困難だったタスクをこなせるようになればそれはもはや快適な領域に変わったということです。
成長領域
目的を見つける
夢に生きる
新しいゴールを設ける
理想や目標を達成する
学びを続けていると成長領域に達します。自分の、オリジナルの目的や夢を見つけたり新しいゴールを設けることで理想や目標に到達しようと努力することができます。その後理想や目標を達することができたならそんないい人生はないと言えるでしょう。
快適ゾーンから恐怖ゾーンに足を踏み入れるには勇気がいります。明確なロードマップ(例えばGoogleマップのような)がなければこれまでの経験を基にすることはできないという人は非常に多いですよね(一説によれば日本人はその傾向が強いとも)。
しかしいつの時代も初めの一歩を踏み出すには大きな労力を要します。月面に第一歩を踏み出したニール・アームストロング宇宙飛行士の言葉はあまりに有名ですよね。我々全員がその努力をする自由を持っているのもまた事実です。
十分に我慢し新しいスキルを身につけて臨機応変に困難に対処する学習ゾーンに入ることができればその先の景色を見ることも可能になるかもしれません。
医師であるオリバー・ペイジ氏は、人は全員これまで過ごした快適ゾーンを出た経験があるとしています。
快適領域から恐怖領域に足を踏み入れるには勇気がいる。明確なロードマップがなければ、これまでの経験を基にすることはできない。これは不安を煽るものだ。しかし、十分に我慢すれば、新しいスキルを身につけ、臨機応変に困難に対処する学習ゾーンに入ることができる。
学習期間を経て、新たな快適領域が生まれ、さらに高みを目指す能力が拡大する。これが成長領域にいることの意味である。
ほとんどの行動変容の試みがそうであるように、ある程度の自己認識がなければ、成長領域に移行することは難しくなるということを述べておきたい。従って、クライアントは以下のことを考慮することが有益である:
ゾーンの大きさは?
あらゆる人生の領域において、すべての人の領域は大きさが異なる。快適領域を出るには、その外側の限界を理解しなければならない。同様に、自分のパニックゾーンがどこにあるのかを直感的に理解する必要がある。その中間にある課題に挑戦することが、あなたを伸ばし、成長と学びにつながるのです。
自分の強みは何か?
個人の強みを理解し、それを活かすことは大いに役立つ。たいていの人は、人生の少なくとも1つの分野で快適な領域を出た経験があり、その経験から多くの気づきを得ることができる。
快適な空間で永遠に過ごすことはできません。
そして情報化社会は我々の先人が培った知識を誰でも容易に手に入れられる時代を作り出しました。教科書で学んだことは一般の方が少しスマホで調べればすぐに得られるのです。
それでは私たち医療従事者はどうすれば良いのか。
その膨大な情報を選ぶ能力が必要です。個人的な好みや経験に由来せず客観的指標を用いて得られたデータをもとにした評価基準を作り出す必要があります。
慣れ親しんだ環境は確かに心地よいものですが外の世界を見ない間に取り残されていた例は歴史上枚挙にいとまがありません。
快適な領域から外に出て現実の世界をみてみよう。
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