障がい者手帳を自分で申請するも病院と行政でたらい回しにされた話
市役所の対応
退院してから早5年、障がい者福祉施設の方に「障がい者手帳を取得出来るかもしれない」と聞いた私は、まず、市役所を訪れました。
「障がい者手帳を取りたいんですけど」と相談するつもりで窓口で聞いてみると
「ご本人ですか?」「病院の先生の指示ですか?」「身体ですか? 精神ですか?」と、矢継ぎ早に聞かれました。
当時の私には早口でまくしたてられたように感じ、パニックになりました。
家族の付き添い無しに行った私も悪かったかもしれませんが、障がい者かもしれない人に、よくそんな対応出来るなぁと思いました。
高次脳は見えない障害と言われますが、職員の方はそもそも見ようともしないように思いました。
暫く閉口しましたが、やっとの事で「自分が以前、高次脳機能障害と診断されたことで、障害者手帳を取得出来ると聞いたこと」や経緯を説明しました。
役所の方は「では、まず、病院にいって診断書を貰って来て下さい。でも貰ってきたからといって、必ず手帳が発行されるわけではありません。こちらで判断してからの発行になります」
と取得に必要な書類にマーカーにチェックを入れただけの説明書と、必要書類をくれました。が、詳しい説明はありませんでした。
健常者には普通な対応かもしれませんが、私には、冷たい対応に感じました。
役所で言われた通り、急性期でお世話になった、T総合医療センターの電話予約に連絡しました。
退院から3年程経っていたので、話が通らず、またも
「先生の指示ですか?」「通院はしてますか?」「どういった経緯ですか?」「他にかかりつけの病院はありませんか?」
と早口で言わます。
挙句に「こちらでは予約とれるかわからないので、診断書受付の方に連絡して下さい」
と言われる始末…。
診断書受付に連絡すると、
「まずは先生の予約を取って下さい」
と、また予約センターに連絡するように言われ、たらい回しにウンザリしました。
誰かの指示を仰ぎたくても、診察の予約すら取れないのに、誰に相談するのか、健常者では無くなった私を証明するために障がい者手帳が必要なのに、それを取る為のスタートラインにも立たせてもらえない。
一体、誰の為に必要なものなの?
はげしい憤りを感じました。
当事者が単身で手帳申請をするのが、こんなに難しいとは思いませんでした。
「じゃあ、診察の予約は取れないんですか? 手帳も取れないという事ですか? かかりつけはここしかないのにどうしたらいいですか?」
かなり強めにいって、やっと診察の予約が取れました。
お役所仕事に振り回された一日でした。
病院の対応
それから1ヶ月以上待ち、やっと診察を受けることが出来ました。
入院時の先生はすでに他の病院へ移ってしまったようで、引き継ぎで始めて会う先生でした。もちろん私のことは知らなかったはずです。
今までの経験と、今一番困ってる事を聞かれました。
診察も一人で行ったのですが、初対面の人に、時系列をおいながら、話の構成をして、具体的なエピソードを交えて話す事は、想起力が乏しい当時の私には容易ではありませんでした。
先生は、私から一方的に話すのを待つスタイルの方だったので、質問したり、具体例を挙げて、話の糸口を出してくれなかったので、話しにくかったです。
やっとのことで、「複数人と会話するのか難しい」「一度に2つ以上の事が出来ない」「記憶障害がある」「子供に話しかけられるなどのちょっとした外部からの刺激で、今考えていた事を忘れてしまう」「そんなことが一日の中で何度も起こってしまうので、子育てに困難さを感じる」
というような内容を頑張って話したと思います。
その間、先生は電子カルテを見ながらキーボードを打っていて、私と目が合わなかったので、私の気持ちや、苦しさが、伝わっているようには感じませんでした。
気持ちに寄り添って欲しいと、勝手に望んでいたので、とても、寂しい対
応だな、と感じました。
それでも、なんとか、診断書を書いて頂く事ができ、役所に申請をする事が出来ました。
そして、3カ月ほどで、緑の手帳を取得する事が出来ました。
思うこと
最初に役所に相談に訪れてから、かなりの時間と、労力を費やしたことで、闘志溢れる感情が生まれ、その想いが私を突き動かしたので、1人でも諦めずに、申請まで、こぎ着ける事が出来ました。
今回の事で、本当に、障がい者に優しくない社会だな、と痛感しました。
中途障がい者にならなければ、一生気付かなかった事かもしれません。
病院も行政も、四角四面な考えでは、本当に困ってる人を見極められないのではないかと感じました。
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高次脳機能障害になった主婦の体験談
30代で脳出血から高次脳になった普通の主婦が当事者として感じたリアル体験談や悩みを綴ります。有料価格を設定していますが、中のノートはほぼ全…
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