「妻」と「夫」の呼び方は
noteの話題に、こんな記事が出ていた。
この話は、以前知人と飲みながら話していたときに出てきた。
この話が話題にあがっていたので、その時考えたことを文章にしてみることにした。
ごくごく勝手な推測なので、学術的にどうかは裏をとっていないこともあることを、はじめにお断りしておく。
飲み相手は、以前から奥様のことを他人に話すときは「うちの奥さん」と呼んでいたらしいが、そのことにずっと違和感をもっていたらしい。ただ、奥さんが自分のことを他人に話すときは「ダンナ」なので、自然と「奥さん」になってしまったようだ。
私もある時期までは夫のことを「ダンナ」と呼んでいた。「旦那」ではなく、カタカナで「ダンナ」だ。
日本語的に配偶者の正しい呼称は、「妻」であり「夫」のようだ。
「夫」と呼ぶと堅苦しく聞こえるような気がするのは、今でもそうかもしれない。
でも、ある時期自分の家の中での立場は、いったいどこにあるのだろうと考えた。
そして、私たちはある時期から「妻」「夫」と呼ぶことにしたのだ。
「妻」「夫」
私は、「妻」や「夫」は【パートナー】で、「奥さん」「かみさん」「ダンナ」「主人」は【ホームワーカー】だと思っている。
言葉として考えたときに、「妻」や「夫」はその相手から見た立場で、「奥さん」「かみさん」「ダンナ」「主人」は家をひとつの塊として見たときの職業的な立場ということだ。
「妻」「夫」というのは、社会的にも精神的にも、相手から見て自分を支えてくれる立場の人であると思う。それは自主的でもあり義務的でもあるが、どちらかというと自主的意味合いの方が大きいように思う。
奥さんは、もともと家を切り盛りする人という意味での「奥」ということなので(大奥とか)、家に職場的な意味合いがあった時代の、職業的立場というのは間違いではないと思う。
立場としての「嫁」
自分たちの親兄弟が生きていて親戚付き合いもあれば、よほどのことがない限りは自分たち夫婦二人の立場だけですまない場合がほとんどである。
夫の籍に入れば、夫の家から見たら私は嫁の立場だ。夫が家の立場から私を見て、私を「嫁」と呼ぶのは間違いではないだろう。「嫁」は夫の家から見たときの立場だろうと思う。なので、「嫁」の夫は「婿さん」になるのだろう。戸籍的には婿養子でなくても「婿さん」と呼ばれる所以はそんなところなのではないか。
しかし、それは夫の「家」から見た場合で、夫から見ての「嫁」ではないと私は思う。
「奥さん」に対しての「ダンナ」
他人が相手の妻のことを呼ぶ場合、「奥さん」とか「奥様」とかになる。夫の場合は「旦那さん」とか「旦那様」だろうか。
日本では、相手の職業的立場を呼称することはよくあることだ。「社長さん」とかそんな感じ。「奥さん」「旦那さん」もそんな名残の呼び方なのだろうと思う。相手がそう呼ぶので、自分もそう呼んだほうが話が早い。自分の相手を「奥さん」「ダンナ」と呼ぶのはそんな感じなのだろうと推測する(ソースなし)。「亭主」や「主人」もそんな感じなのだろう。
他人の前では「ダンナ」、自分の子供の前では「お父さん」「パパ」になるのも相手に合わせてのことなのだろう。
自分の立場はどこにある?
うちには子供がいないので、私たちが「お母さん」「お父さん」になることはなかった。
我が家になかなか子供ができないので、30代になって私は外で夫を「お父さん」と呼ぶことにした。他人と話すときにではなく、外で夫を呼ぶときに「お父さん」と呼ぶのだ。
そう呼べば、「お子さんは?」という質問を少し回避することができた。天気の話くらい気軽な話題だけど、わりとデリケートな話題なので、いちいちそう聞かれて「いや、まだなんです~」というのが面倒くさかったからだ。「お父さん」と呼ぶことで、他人は勝手に「ああ、お子さんがいるのねー」と思ってくれる。
私の夫は家を継ぐ義務もなかったので、私の夫は家的には「ダンナ」ではありえない。分家としても跡継ぎがいないのであれば、分家の意味もないだろう。
であれば、自分たちはお互いのパートナーであればいいだけだ。
そういう意味で、私たちは堂々と「妻」「夫」なのだと思う。
呼びたいように呼べばいいと思う....けど
相手を「妻」「夫」と呼んでしっくりくるようになったのは、40代に入ってからかもしれない。ある程度の年齢になれば、それなりに正しい日本語を使う必要もあるように思うし、外国人と多く接するようになって正しい日本語を使いたいと思うようになったのもきっかけかもしれない。
日本語では、話す相手によって立場を変えて呼称するという文化がある。
「夫」も「お父さん」も「ダンナ」も「主人」もみんな同じ人だ。
だから、そのシチュエーションで呼称を使いこなすのは、話す相手が不愉快に思わなければ、個人的には間違いではないと思う。
ただ、「連れ」とか「相方」のような、地方性のある言葉をその土地の人じゃない人がわざわざ使うのは、ちょっと違和感あるけれど。
以前からちょっとまとめてみたい項目だったので、機会をくださった如月桃子さんに感謝します。
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