⑮「シン・開業医心得」 第2章の1より 発展途上国での医療
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「シン・開業医心得」 目次
プロローグ
第1章 シン・開業医心得
1 世間で時々聞く「医者に殺されないように」という文句に殺されないように
2 開業医での経験
第2章 開業してようやくわかる医療制度の問題点
1 たまに話題になるが、よく知られていないことがらについて
2 医療、介護制度の盲点
エピローグ 提言
第2章の1より
発展途上国での医療
ぼくは、6年ほど前、「国境なき医師団」の外科医としての審査をなんとか通り、その所属外科医としてハイチに行き診療をおこなった経験がある(その後、コロナウイルス・パンデミックなどの諸事情で継続されていないが)。
そのとき、とても不思議だったのは、ビザ取得手続きが事前に「国境なき医師団」によってされていて、ハイチのポートフランス空港の税関をスムーズに通過できたこと。そして、日本の医師免許しかないのに、まったく問題なく、ハイチで医療行為をできたことだった。
一番大きな理由は、「国境なき医師団」が運営する病院が、既に、ハイチに複数存在していた、からだろう。
つまるところ、その国で、医療行為で収入を得なければ、医師免許の制限はそんなにない、ということなのだ。それら、「国境なき医師団」がハイチで運営する病院では、患者の医療費は無料で、さらにそこで働く医療者の給与もまた、そこの国からではなく、「国境なき医師団」が支払っていたからだ。
「国境なき医師団」の活動は、世界あちこちに及ぶ(とはいえ、地理的・歴史的な関係で、比較的、アジアでの活動は小さいといえるが)。
だが、その、日本政府が支出する「青年海外協力隊」の何倍にもあたる膨大な予算を、彼らはどうやって寄付金として集めているのだろうが?
今なお、不思議である。
先日、「ジャパンハート」の見学で1週間カンボジアにでかけた。カンボジア、ミャンマーは、数少ない(手続きは容易でないようだが)日本の医師免許が通用する国という情報があった。もちろん、MSF同様、集団として事前に許可がでているのだろう。普通に診察は可能だった。
日本語が通じるのと、外傷がはいってこない状態なので、安心感はMSFとくらべて断然あった。
感じたのは、日本と同様、不定愁訴を抱えた患者がおおいということ。あとは、外科で腹腔鏡手術がない分、ぼくの研修医時代と同じような、虫垂炎やヘルニアからの手術があったこともこちらとしては取り組みやすかった。むしろ、半年のボランチアの予定できていた外科医になって10年の先生が、開腹の虫垂炎やヘルニア手術にとまどっている様子が「そうだろうなあ」と思った。本当に、日本の外科手術は腹腔鏡手術中心のままでいいのだろうか?という問題意識がめばえた。
ひとつだけ。
日本の内部にも「発展途上国」が隠れている。
それは、老人医療、あるいは介護の現場だ。
①へのリンク: ①「シン・開業医心得」 プロローグ|kojikoji (note.com)
⑯ヘのリンク: ⑯「シン・開業医心得」 第2章の1より 看護、介護の人手不足|kojikoji (note.com)
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