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⑱「シン・開業医心得」 第2章の2より 日本の病院の数は多すぎる?
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「シン・開業医心得」 目次
プロローグ
第1章 シン・開業医心得
1 世間で時々聞く「医者に殺されないように」という文句に殺されないように
2 開業医での経験
第2章 開業してようやくわかる医療制度の問題点
1 たまに話題になるが、よく知られていないことがらについて
2 医療、介護制度の盲点
エピローグ 提言
第2章の2より
日本の病院の数は多すぎる?
日本の医療制度の問題点をあぶりだすために、しばしば使われるのは、アメリカ医療制度との比較だ。
だが、ぼくが思うに、その比較は困難で、筋のとおった記述は不可能に近い。
その理由のひとつとして、アメリアにはPA(Physician Assistant)という「準医師」と呼べるような日本にはない職業があること(州によるが)。アメリカの看護師は、日本では禁止されている、薬の処方や高度の医療行為がゆるされていること。また、介護士が許される看護行為も日本より圧倒的に広いということ。があげられる。これら、アメリカの制度は、それだけで、合理的なもので、日本に大きく欠けていて、学ぶべきことである、といえるのではあるが。
そして、前に少し述べたように、日本では「移植」「緩和ケア」「新薬の臨床試験」という活動がない(そこに投じられる人や物、活動そのものが、アメリカに比べると、日本では「存在しない」ともいえるくらい、けた違いに少ない)ということも理由にあげられる。
(例 アメリカでは第1相試験が、順番待ち。日本では、数年に一度、おこなわれるかどうか。そして、有名な、移植医療の症例数の差)
アメリカでは、医療の分業化・専門化がとてもすすんでいる。だが、これはこれで、一方で、いろいろな問題をなげかける。
日本の患者意識では、かかりつけの医師にすべてみてもらいたいという意識が強い。例えば手術後は執刀医にすべてみてもらいたいという願望がつよく、退院後、風邪をひいたり、指を切ったり、血圧が高いと検診でいわれても、すべて執刀医にみてもらいたがる。このような、そんな日本の患者が、アメリカの分業化ついていけるかどうか?
しかし、一方で、日本の患者は、専門的なよりよい医療をうけることや、時間的余裕をもったスタッフにより応対されるという機会を自ら捨てているともいえる。
また、日本には中小規模の病院(我々が大きな病院と思っている病院が、アメリカでは中小規模の病院に他ならない)が、多すぎる(多すぎるというのもアメリカの基準で、日本では多すぎるどころか、現状でさえも近くに病院がなくて不便と嘆く声が聞かれる)。
そして、外来での治療が多いことを支える、ホームドクターや在宅医療の充実がアメリカではみられる。
まわりくどくいわずに、キャッチコピーのようにまとめてみると、以下のようになる。
「日本の医療従事者はアメリカの7分の1の数のスタッフで、同じ治療効果のある医療を提供している。そのため、サービス(心のケア)まで手がまわらないのは、やむをえない」
「病床100床あたりの看護師の数は日本はアメリカの5分の1」
「日本の患者はアメリカの7分の1の医療費で、同じ治療効果のある医療をうけている。その上、サービス(心のケア)はおちる、ミスが多い、と批判することがたえない」
でも、日本は客観的に言って、恵まれているでしょう?
先進国の中で日本の医療費はもっとも安いといわれています。
医療保険加入者は100%近い。
救急車の使用は無料。
平均寿命は世界一。
これ以上何を求めるというのでしょう。
これ以上を求めるなら、まず、お金を余計に払うべきではないでしょうか?
なるべく安いお金で最大限の治療をうけ、それではまだ足りず、さらに充実したサービス(端的には、医療スタッフが、患者にかかわる時間の長さ)をさらに求める。これは、いくらなんでも、欲張りすぎ、虫がよすぎるんじゃありませんか?
実際、マンパワーという観点でみれば、ずいぶん昔から既に病院はパンクしているのです。
今まで何十年もずっとパンクした状態でやってきているから、これが当たり前と思われているだけで、当たり前の姿ではないのです。
アメリカの医療は、そのことを、鏡のように、目の前に映しだしてくれます。
医療従事者をせめる前に、制度をまずせめるべきです。
医療従事者は「分身の術」を使ったり、「1日を100時間にする時間操作能力」を持ったりしているわけではないのです。
①へのリンク: ①「シン・開業医心得」 プロローグ|kojikoji (note.com)
⑲ヘのリンク: ⑲「シン・開業医心得」 第2章の2より 医療報酬あるいは介護報酬の点数(単位)制度 その1|kojikoji (note.com)