南極の長い科学調査が革新を生んでいる
南極への研究についてとても興味深い記事が公開されています。
ほかに、関連するプロジェクトストーリーがこちらでも掲載されています。
ようは、
南極に最新の水中ロボットも活用して地球環境の調査が長い時間をかけて革新に繋がっている、
という話です。
今回主に取り上げられたロボットは、MONAKAという海中に潜る調査用ロボットです。
個人的にまず感銘したのが、南極観測隊がもう「第64次」ということです。文字通り64年間も調査を続けているということですね。
現調査の最大テーマは「南極の氷がどのくらい解けているのか?」です。
環境省のサイトによると、地球全体の実に9割(!)が南極大陸にあります。
よく言われる例えが、仮に南極大陸の氷がすべて解けると、日本大陸では約60cm近くも海面が上昇します。
南極から遠い場所にあってもこれだけのインパクトを引き起こしますので、決して他人事ではないですね。
しかも、この記事ではもう1つ重要な指摘をしています。
「南極の氷が解けると気候変動にも影響する」
そうです。
ようは、氷が解けると海洋の塩分濃度が薄くなり、海洋が循環しにくくなることで地球温暖化など気候に影響がある、という流れです。
そんな重要な南極大陸の氷ですが、どうも最も溶けているのは海中ではないか?という説が出ています。
ざっくりいうと、南極大陸(名前の通り陸)から海上に突き出した氷を海中の暖流が氷の下から潜り込んで溶かしているようです。(氷床融解)
それを解明するのが上述の自律型の海中調査船MONAKOです。
幾度のハプニングを経て無事に稼働し、海中での調査を進めています。
これからの研究成果に期待が高まります。
実は、既に日本は南極での調査で歴史的な貢献をしています。それは「オゾンホール」です。
2023年1月に、オゾンホール回復という嬉しいニュースが世界を駆け巡りましたが、元々オゾンホールを発見したのは日本の調査でした。
元々日本は南極調査は1961年に始め、大体16年間のデータを蓄積して、1982年にそれが減少していることに気づき世界に発表しました。
それがきっかけで、南極以外に人工衛星によるデータ等でも確認され、世界に知られることになったということです。
既に色んなニュースで報道されていますが、あと2066年までには全復旧する見込みです。
そもそもですが、南極はどこの国の所有物なのか?
実は「どこの国にも属しません」
1961年に発行された南極条約に基づき(環境省サイト)、ようは科学調査しかしか利用できません。
ある意味「平和を象徴する唯一の大陸」といってもよいかもしれません。
南極大陸を人類共通の課題を解決する拠点にするのもいいなぁと夢想している今日このごろです。