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引用数は世界一と概算出来そうな科学者フェルミ

以前にボースという科学者の業績を紹介しました。

ボース粒子と並んでいる「フェルミ粒子」はエンリコ・フェルミという科学者からとっています。

このフェルミですが、物理を縦横無尽に闊歩したともいえるほど多才な業績を残しています。
他にも、「フェルミ分布」「フェルミ準位」・・・「フェルミニウム(100番の元素)」など、彼の名前が付いた固有名詞の数だけで言えばアインシュタインを超えています。
こちらの調査によると、理化学辞典(岩波書店、第五版)に「フェルミ***」の見出しは 15、索引項目は 27 あります。(あまり比較する意味はないですがアインシュタインは8、18)

そして数だけでなく質も高いです。

フェルミの特徴は、「物理」にも通常は理論系と実験系でそれぞれ優秀な方々が棲み分けられるのですが、彼はいずれでも卓越した才能を見せます。

それを象徴する有名なものを1つ挙げると、中性子の理論研究を確立すると(ノーベル物理学賞も受賞)、その理論をもとに歴史上初めて核分裂の連鎖反応を実現する原子炉の設計にまで携わって完成させたことです。

ただ、これはどうしても科学者の負の側面を触れざるを得ず、「原子爆弾」を誕生させてしまいます。
実際エンリコ・フェルミもその開発プロジェクト、通称「マンハッタン計画」の中枢として活動していました。

以前にファインマンという科学者の伝記で、ちらっとフェルミという名前だけは権威の象徴として出しました。

ファインマンは核分裂連鎖反応計算の実務的な取りまとめを行っていましたが、後年彼も天才と称えられるほどの逸材です。
彼自身の伝記によると、超複雑な計算を終えたものの、他人に説明できる自信がなく、そんな中で現れたフェルミ(普段は現場にいない管理側)がパッと見ただけで理解して説明した、というエピソードがあります。

フェルミを評するときに、よく「概算の達人」と言われます。

実はビジネスの世界でも既に使われており、「フェルミ推定」という固有名詞がそのまま使われており、それを鍛える書籍もいくつか出ています。

上記でマンハッタン計画を取り上げたので、伝説的なエピソードを紹介します。

初の原子爆弾の実験(トリニティ実験)で、爆発力を評価するために自身がもっていたハンカチを落下させ、その振る舞いから概算をはじき出したというものです。(結果は高い精度だったそうですが、それを裏付ける情報までは見つけられませんでした。どうしてもこういった話は尾ひれがつきがちです・・・)

やや原子爆弾のトピックに偏ってしまいましたが、フェルミは原爆開発については後年考えを改め、水素爆弾への開発については反対の立場をとっていました。

フェルミは53歳という若さで癌でなくなります。

この類まれなる天才科学者は、学際的な知恵をつなげることが求められている今の時代に生きていれば、さらにその輝きを増しているのだろうと想像します。

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