動物のインターネット:新しい神話へ
以前に、量子インターネットの話をしました。
ようは、
量子伝送技術で新しい発明が起こって強度・安全性が高まったインターネットの実装に近づいた、
というはなしです。
で、今回は「動物のインターネット」計画について紹介します。
こちらの記事がきっかけです。
ようは、
動物に発振器をつけて生息を可視化することで新たな発見があった、
というはなしです。
この計画は、イカロス(International Cooperation for Animal Research Using Space=宇宙を利用した動物研究のための国際協力)といいます。下記が公式サイトです。
配信時点での最新Newsでは、渡り鳥のコウノトリ160匹を追ったところ、幼いころは集団志向で徐々に一人でも渡れるルートを選択している可能性がある、という興味深い研究結果が発表されています。
イカロスの目的は野生動物の保護ですが、そのデータを応用して地震・火山噴火予知など自然の分析にも応用が期待されています。
きっかけ記事の例にあるように、有毒物質にさらされると身体を閉じる軟体動物は、今でもミネアポリスやポーランドの都市水道システムで危険を察知するために使われているようです。
地震大国日本としては、地震予知の可能性をさぐりたいですね。過去の関連投稿を添えておきますが、未だ有効打はない状態です。
簡単にイカロスの技術的仕組みを書くと、動物個体にGPS発振器を埋め込んで、それを宇宙空間にあるISS(国際宇宙ステーション)が受信して地上局に送信、という流れです。
従来の地上だけに閉じたセンサーだと行動範囲に限界がありましたが、これだと地上の広範囲で数mの誤差で動きを可視化することができます。
ただ、まだ誤差が荒いのと、そもそもISSは2030年に運用停止が決まっています。最近SpaceXがその廃棄処理(?)を担う発表もありました。
ただし、2023年から実験的にはじめたキューブサット(超小型衛星)経由でのデータがうまく受信できているため、こちらにシフトする予定です。こちらも宇宙技術革新の恩恵を受けたケースですね。
動物を個体監視することに道義的な批判はあるかもしれませんが、目的はあくまで保護ですので、健全な運用を続けてほしいものです。(公開情報ではわかりませんでしたが、発振器自体はおそらく小型でそれによる健康被害はないと信じています)
なにより語源由来のギリシア神話の神「イカロス」は、翼を得て自由自在に空高く飛ぶことが出来ました。ただ、その後に太陽に近づきすぎて翼が亡くなってしまったため、人間の傲慢さやテクノロジーを批判する神話としても有名です。
むしろ、この21世紀版イカロス計画が、人間と(動物含む)自然との共生を育む新しい神話に上書きされればいいですね。