香りが認知症予防に?嗅覚と健康の深い関係
以前に、五感は脳で相互作用しているかもしれない、というトピックを取り上げました。
上記の例でとりあげた「嗅覚」ですが、最近こんな記事が投稿されています。
ようは、
嗅覚障害が、アルツハイマー病やパーキンソン病など深刻な健康問題の予兆かもしれない、
というはなしです。
2つ目の元論文では性別や年齢、そして食事での関連性も示唆してますが、その真偽はともかく、相関のある100以上の症状リストを見ると、驚くほど多様です。一見嗅覚とは関係なさそうなものも多いです。
冒頭記事を読めば、やはり脳が単なる受動センサーでなく能動的に影響を与えている傍証かなと改めて痛感します。
今回元論文で興味深かったのが、嗅覚が他の感覚器官より影響を与えている理由(仮説)についても言及しています。
嗅覚系は感覚の中でも解剖学的に独特で、視床を迂回して記憶処理に関わる脳の領域に直接投射する「スーパーハイウェイ」を持っているとのことです。2006年に出た下記論文を出所にしています。
人間の嗅覚は、他の動物とくらべると劣っていると聞いたことがあります。確かに犬は数万倍の嗅覚能力があるとは昔から言われていますが、生物学的にもやはり優位性はあるようです。いわゆる匂いをうけとめる「受容体」の数です。下記を参考にしました。
ところが今回の話では、実は嗅覚が中枢的な役割を担っているという逆説的にも聞こえる仮説です。
この進化的な背景はどこかで調べてみたいと思います。
いったん今回の発表に戻ります。
負の相関がわかりましたが、正の相関も分かっています。
つまり、よい匂いを嗅ぐとそれが炎症を和らげる効果が期待されています。
具体的には、心地よい香りに触れることで嗅覚を豊かにすると高齢者の記憶力が226%も向上することが過去の研究で示されているそうです。
この過去研究論文は見つけられませんでしたが、近い研究内容はいくつか行われているようです。見つけた記事を2つ紹介しておきます。
いずれにせよ、今回の研究で炎症に影響する共通経路が明らかになったため、逆にここによい刺激を与える療法を試みています。
具体的には、人体を直接的に傷つけない(非侵襲型)デバイスを開発しようとしています。
認知症への影響ということで、むしろ超高齢社会日本でこのような嗅覚から予防するアプローチが増えると面白いですね。
そしてもう1つ。
視覚は複雑な生物が生まれる原動力ではないか、とも言われています。過去の関連投稿を載せておきます。
ところが今回「嗅覚」もそれに劣らない重要なパーツではないか?と感じました。またどこかで、今の科学でわかっている嗅覚のメカニズムについて、たどってみようと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?