米国新政権と揺れ動く宇宙政策
ドナルド・トランプが正式に米国大統領に就任しました。
今回は、いわゆるテックジャイアントの面々がそろって就任式に参加したこともあって、初めて私もその就任式を視聴しました。
どうですか、このメンバー。
上記以外ではTiktok CEOも参列していたとのこと。 MicrosoftとOpenAIは参加しなかったようですが、報道されているようにそれぞれ100万ドルの寄付を行っています。SNSもそれぞれ祝辞コメントしてますね。
トランプの講演内容は、選挙運動時と同じような印象でしたが、大統領令をその場で署名というのは彼らしいパフォーマンスですね。(いったん良し悪しは置いておいて)
参加したテック経営者のなかでも、イーロン・マスクは実際に政権で効率化省を担うことが決まっています。
そのイーロンのスピーチがいつも以上に熱がこもっていて印象的でした。
ハイテンションだった理由は、政権に入ることよりも、直前に行ったトランプ演説のなかで、
「宇宙に進出し、火星に星条旗を立てるためにアメリカの宇宙飛行士を送り込む」
というくだりがあったからでしょう。
トランプの宇宙政策として注目すべきは、新たなNASA長官として(イーロン同様に)実業家出身のアイザックマンを起用した方です。イーロンとの親交も深い方です。
今、NASAは月経由で火星を目指す「アルテミス計画」を進めています。
イーロン率いるSpaceXもその役割を担ってはいる一方で、個人としては、月経由には反対の立場です。つまり、月によらずに直接火星にいくことを望んでます。
2024年末にアルテミス計画の遅れが発表されたこともあり、個人的には新政権・新NASA長官の下で大きな見直しが入ることが予想されます。
大統領の英断で、過去宇宙のプロジェクトは左右されてきました。アルテミス計画も政権によって揺さぶられた経緯があります。
トランプの行動原理は、政策の一貫性というよりも「前政権の否定」という一貫性が特徴です。
したがって、過去は自身が復活させたアルテミス計画ですが、その経路を補正(目的が火星は同じ)することは大いにあり得ます。
あとは、中国の動きも影響するでしょう。昨年末に、2050年を見据えた国家の宇宙長期プランを策定しました。
2030年に有人月面着陸を目指しており、経済状況によれば前倒し可能性も否定できません。となると、アルテミス計画の目指す2028年に迫ってきます。
であれば、これ以上の遅延で中国の二番煎じに甘んずるよりは、見切りをつけてその先の火星を目指そうとするかもしれません。
ということで、ビリヤードのごとく色んな玉とぶつかりながら、米国の宇宙政策自体は揺れ動く一年になりそうです。