キャッツアイ解答とシチズンサイエンス
「キャッツアイ」と言えば女怪盗漫画を連想する方のほうが多いかもしれません。知らない方のためにそちらから。
ただ、今回紹介するのは科学の世界での「キャッツアイ」です。
ようは、
キャッツアイ星雲の3次元モデルを学生が作製し、中心に連星が存在することを証明した、
という話です。
学生だからすごい、という表現は好きではないですが、これは学生でなくてもすごい研究発表に見えます。
まず、キャッツアイ星雲ですが、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものが有名ですが、以前からその複雑性で話題の星雲ではあります。
ハッブルは基本的には光学系(要は我々の目で見える領域と同じ)ですが、X線(レントゲンと同じ)の領域で覗くチャンドラー観測衛星でもその様子は観察されてきました。公式Youtubeチャンネルでその動画を見る事も出来ます。
この内部構造が長年不明で、その1つが謎の歳差運動、砕いていえば「コマ」のように位置を変えずに傾きだけ変わる動きをしていることでした。
それを3次元モデルを作って連星によるジェット(要はガスの噴射)現象であれば説明がつく、ということを見事に説明しました。
ちなみに、放射するジェットはなんでも吸い込むイメージのあるブラックホールの中でも見かける天体現象で、仮説の域を出ていません。
研究成果を発表したクレアモント氏は、本研究により中高生を対象とした世界最大の科学コンテストである国際科学技術フェア(ISEF:International Science and Engineering Fair)の物理学・天文学部門で1位を獲得したとのことです。
このコンテスト自体を知りませんでしたが、日本でもグローバル・ローカルに活動しているようでした。
同サイトに啓蒙書も紹介されており、いずれも興味をそそります☺
国際交流も含めて、自身の成果を発揮できる素晴らしい場と感じました。
今回の学生はもはや専門家といってよいレベルに感じました。
実は最近若手研究者(かその一歩手前)が成果を発表して表彰するイベントが最近行われました。「Academist」という団体は、若手研究者をクラウドソーシング型で支えることを目指しています。
以下に、受賞タイトルだけ列挙しておきます。対象は修士課程か助教授の若手研究者です。
特に日本では、博士課程以降からポスドク・助教へとなかなか安定的な職に就くことが難しい、という社会課題は知られています。
こういったクラウドファンディングは、少額でも気に入った研究テーマがあったら応援できるので、お互いにとって素晴らしい仕組みです。
職業としての研究者を志さなくても、以前から市民が科学調査に参加できる「シチズンサイエンス(市民科学)」という言葉もあり、昨年NHKも下記のようなポータルを始めています。
天文学の世界では、アマチュアが新星を発見するという話は聞いたことがありますが、これだけ情報民主化が進む現代においては、科学活動の民主化は一定の意義はありそうです。
勿論プロを尊重し、かつ単なる自己満足でなくあくまで科学技術の発展と社会貢献の軸も忘れない範囲ですが。
いずれにしても、クレアモント氏ほどの業績でなくても、小さい成果でも認知できる仕組みはもっともっと増えてほしいですし、この投稿でも面白いと思ったら取り上げていきたいと思います。
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