メタバースへの立ち位置とAppleの挑戦
前回、アップルのWWDCでの発表について解説しました。
前回は触れませんでしたが、競合の動きもこのイベントを見据えて、動きがあります。
そのうちの1つが現時点でVR機器最大シェアを誇るメタ社です。まだ旧Facebookといったほうがいいほど、慣れない社名です・・・。
ちなみに、そのVR機器名も買収したoculusからメタに変えています。
WWDCの数週間前に最新版を発表しました。ある意味わかりやすいですね。
今回のWWDCでは、興味深いことに「メタバース」と言う言葉も使いませんでした。
前回「AI」と言う言葉を使わなかった、と触れましたが、メタバースも同じ背景だと思われます。
改めてですが、盛り上がりを見せる生成系AIですが、アップルがやや後手の印象を受けるため論点にならないようにしたのでしょう。
一方で、メタバース市場は一時期2020年ごろの盛り上がりよりもトーンダウンしたように感じます。(ちょっと市場予測は横着して割愛)
大きな要因は、なかなかきちっとマネタイズにつながれそうな企業が現れていないからだと思います。
ただ、何をメタバースと呼ぶかですが、例えば超ブレイクしたフォートナイトを運営するEpicGamesは、物理世界と繋がった企画や、開発基盤提供など、元気があるように感じます。
競合のUnityも絶好調で、面白いことにAppleの株価は下落したのに、イベントで協業を発表されたUnityは上がったという謎のマーケットの動きもありました。
いずれにせよ、Metaが狙うヘッドマウントディスプレー機器を使ってのメタバース市場というのが今一歩育っていない、この辺がアップルが迂闊に同じ泥沼にハマらないように気をつけているのでしょう。
今回は、その代わりとして、「空間コンピューティング」と言う言葉を全面的に押し出そうとしていました、
あまり見かけない言葉でしたが、いずれにしても、今回その専用のチップまで開発したと言う背景から、新しいメタバース的なものへの新しいイメージ作りを、この言葉をフックにしてチャレンジしようとしているのでしょう。
これについては、ビジネスとしてどこまで育つのかと言うのは、現時点では判断のしようがないです。
過去にアップルだけじゃなく、メタそしてGoogleが消費者向けにチャレンジしてなかなかうまくいかなかったと言う背景もあり、感覚的には難しいのだろう、と思ってしまいます。
ただ、そんなことは百も承知で今回それを踏まえてもAppleが挑戦してきたということから、おそらくはなにがしかの筋道が立ったんじゃないかなぁと勝手に想像しています。
何よりも、メタバースは体験価値に尽きるので、まずはなんといってもこの新しいデバイスを体験してから初めて評価できるのかなぁと思います。
アップルはiPhoneに象徴されるように、常に新しい価値を創出しようとし、そして成功してきた世界最大級の会社の1つです。
今回のハードルは相当高いものですが、もしかしたらアップルなら、と言う思いで、これからも温かく応援していきたいと思います。