天文学的ハプニングがもたらした進化の道筋:超新星と人類の関係
以前に、天文ショーの三尺花火「超新星爆発」が生命の種を生んだという話をしました。
超新星爆発とは、恒星がエネルギーを使い果たした後に生じる自重崩壊の反動で起こる超爆発です。(乱暴な表現ですが・・・)
あまりにも爆発のスケールが大きいため、地上から目視できるほどです。数千年に一度ぐらいの確率なのでぜひ一日数分ほど空を見上げてみましょう☺
ただ、もしかしたら宇宙花火の見物どころか我々人類の存在にも関係していたかもしれません。
超新星が生命を運ぶだけでなく進化にも寄与したかも、という刺激的な論文が最近掲載されています。
ようは、
超新星爆発による放射線エネルギーが地球に届いて遺伝子を変異させ、多様化を生んだかもしれない、
というはなしです。
過去250万年前に、超新星爆発による放射線シャワーが降り注いだ可能性が高いことが、海底堆積物中にある鉄同位体の数から分かっています。
鉄の同位体(中性子の数だけ異なる)は放射線を受けることで生成されるわけですが、同じくエネルギー程度によっては他の元素、もっといえば生命体を構成する元素にも影響を与えていたということです。
それによって、二重らせん構造のDNA配列が突然変異で変化し、属性の異なる多様な生物が誕生したかもしれないというストーリーです。
では突然変異によってどんな生物が誕生したのか?
ここからは願望に近い仮説ですが、一番影響を受けたのは「人類」ではないかと思います。
実はこの時期に、ホモサピエンスに連なる種(つまり先祖)で、運命を大きく変える身体的変化が起こったことが分かっています。
それは「脳の容積肥大化」です。
上図にあるハビリス(次が知的な能力で有名なエレクトス)以降で急速に脳容積が肥大化しています。この種の誕生時期が大体200万年前といわれ、超新星爆発による突然変異の数十万年後にあたります。
そして脳容積を肥大化する遺伝子の特定も研究が進められています。(例えばこちら)
つまり、この人類特有の遺伝子をハプニングで生成したかもしれないということです。
今回の研究はまだ進行中です。これから解析が進むと、宇宙からのイベントが地球の生態系や進化にどのように関与しているのかをより具体的に説明出来る可能性を秘めています。
少なくとも我々人類が誕生するうえで、1つは明らかです。
約7千万年前に飛来した隕石です。これによって当時地上の覇者であった恐竜が死に絶えて、鳥類、そしてそれまでわき役だった哺乳類が台頭してくるわけです。
宇宙からの贈り物で地球の生命史が大きく変わる。もしかしたら我々が気付かないだけで結構つながりはあったのかもしれませんね。