月を基地とした宇宙開発のリアリティ
前回の月資源の関連です。
月を基地とした宇宙開発の新しいアイデアを紹介した、面白い記事を見つけました。
時間ある方は、この4分PR動画をご覧ください。(言葉はないです)
この動画は欧州の宇宙機関ESA(イーサと呼びます)が制作したもので、月を生息地とした未来を表現しています。
Moon Village(月の村?)というおしゃれな名前もみえますね。
完全にSF作品の風景ですが、そのいくつか、しかも重要なエネルギー供給について野心的な企画アイデアが冒頭記事では紹介されています。
実はその原型は実用的な研究が行われているので、先にそれを紹介しておきます。
宇宙空間で太陽光エネルギーを獲得し、それをビームにして地球上の受信機に送ることで発電所の役割を担わす、というアイデアです。
古くは20世紀初頭に科学者テスラ(EVメーカを連想しますがその由来)が考案し、日本はトップランナーの一人です。
これ以上は過去に紹介した記事を引用してとどめておきます。
今回はこの月バージョン、といえばわかりやすいと思います。
もう具体的な設計図は出来ています。
まず太陽と月の平衡点(ラグランジュポイントの1つで月面から約6万km)に太陽光エネルギーを受ける衛星を配置します。
それをマイクロ波に変換して月面上に23MW(メガワット)の出力でビーム上で送付します。
いくつか技術的な課題はあったのですが、今回の差分はその太陽光エネルギーを受信する衛星の設計です。イメージ図を冒頭記事から引用します。(タイトル画像もここから引用)
形状がユニークですね。
この発想は、昆虫の蝶の形状からインスピレーションを得たそうです。
実は完成した見た目だけでなく、この衛星に搭載された蓄電池は、月の塵(レゴリスと呼ばれます)を元に製造可能としています。
ここは深堀したいところですが、発散しそうなので、今回はその記事の引用にとどめておきます。
月面で材料を調達できるだけでなく製造全体コストも地球でのそれより低くなると見積もっています。さらに加えて、完成品を衛星を打ち上げるコストも下げられると目論んでいます。(計算根拠までは裏付けとれず)
製造コストは専門性が高くなんとも評価しにくいですが、打ち上げコストについてはあながち否定はできないと思います。
衛星を運ぶロケットは天体の重力に打ち勝つ必要があります。(宇宙速度とよく呼ばれます)
月の重力は地球の6分の1なので、月面から衛星をあげるほうが楽なわけです。
そしてこの衛星は、地球向けにも活用できるわけです。(もっといえば月面はまだ人類がいないのでロケット失敗時の安全リスクも低くなりますね)
夢のような話ですが、前回触れたとおり、月は南極付近を中心に資源が期待されており、今回紹介したESAの月の村構想と同じことを、米国・中国・ロシアも計画しています。
クリーンなエネルギーが持続可能性を高めればよいのですが、その資源競争が新たな火種を生むという本末転倒な物語にならないことを願っています。
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