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老化はある意味脳を活発にしている!?
あっという間に8月が終わり、9月は世界アルツハイマー月間です。
なぜ9月かといえば、1994年9月21日に国際的なアルツハイマー会議が行われたことを記念し、その日を「世界アルツハイマーデー」と制定しました。そしてその月をこのように呼ぶ習わしとなりました。
アルツハイマーについては、アミロイドカスケード仮説がよく知られており、これに照準を合わせた薬が開発されています。日本では中外製薬のレカネマブが有名ですね。
今年になって、このアミロイドを除去する新しい治療法も発表されました。過去投稿で紹介したので興味ある方は覗いてみてください。
面白いのは光と音を使う点ですが、最近この「音」について興味深い研究成果が発表されています。
ようは、
音楽を聴くことで脳の記憶能力に影響をあたえるかもしれない、
というはなしです。
年齢層別で、音楽を聴いたときに働く脳の部位に違いがみられました。ざっくり言えば、高齢者は若い参加者に比べて脳の感覚領域の活動がより活発で、一方記憶に関連する領域の活動はより少ないことがわかりました。
興味深いポイントは、単に高齢化で記憶能力が低下するだけでなく、それを補うかのように感覚部位が活動しているという点です。
アルツハイマーなどの認知症との関連でいえば、単に記憶能力の低下を認知症の兆候とはできない、ということです。
今回の研究の意義は、その感覚と記憶の適応状況をモニタリングすることで、認知症の予測に貢献できる点です。
具体的には、バッハの音楽を聞かせ続けることで脳の適応状況を定点観測する実験を続けています。
なぜバッハかといえば、上記記事によれば「構造がしっかりしている」からだそうです。
腑に落ちないので調べてみると、下記記事でなんとなくそのすごさが感じられました。
上記ははじめの小音節を繰り返したり拡大したり論理的に敷衍した楽曲例を取り出していますが、ようは音楽理論として洗練されているようですね。
音楽は、一見自然科学と対極にある、きわめて美的で主観的な分野と思い込んでいましたが、むしろバッハのような科学的なアプローチで評価されているというのは驚きでした。
科学的な音楽で科学的に認知症対策に取り組む、のはとてもそそります。
なによりも、老化はまるめて脳が劣化しているわけでなく、記憶能力の低下を他の部位が補うというすごい事実はぜひとも世の中に知ってほしいです。
老化のイメージをぜひ変えていきたいです。