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想像以上に五感を絡めて予測していた脳

以前に、脳の予測機能について紹介しました。

ようは、
脳は行動直前に次を予測しており、その報酬(に近いホルモン)に応じて常に最適になるように学習している、
問う話でした。

ただ、上記の記事はあくまで2次運動野と呼ばれる個所で、その予測範囲も限定的な実験です。

ところが、同じように予測しているのだろうと思われる実験結果はほかにもあり、なかなか豊かな幅を持ってそうなことがわかりました。

そういった研究者を紹介した記事を引用しておきます。

上記の文中に興味深い例が紹介されています。

VRで使うヘッドマウントディスプレイをかぶり視覚には完全な仮想情報を見せます。
現実ではマグロが目の前に出されてますが、もし仮想映像でトロやサーモンを移すと、被験者は仮想映像と同じものを食べていると誤解してしまうのです。

「クロスモダリティ」と呼ばれる効果ですが、この場合は味覚は舌(細かくは味蕾)だけでなくある程度視覚を通じて脳内事前処理、つまり予測が影響を及ぼしていることを表しています。

味だけでなく嗅覚と視覚も同様です。

こちらも日本の研究者の成果を紹介します。

ようは、
レモンよりもバニラの香りのほうが早くそのにおいを感じることができた、
という話です。

文中からわかりやすい実験結果を引用しておきます。

上記記事内の図

視覚の処理は因数分解されて最後に脳が統合処理することが以前からわかっており、その1番打者がV1で、後続で動きに関する処理を行うのがhMTと呼ばれる個所です。
つまり、主観的なアンケートだけでなく、脳内の動きでも傍証されているということです。

直感的には、レモンのような刺激臭のほうが早く感じられそうですが、実験結果は真逆でした。

これは厳密には未解明ですが、少なくとも視覚がなにがしかの影響を与えている可能性は高いと思います。

今後冒頭の実験同様仮想技術で実験を進めるそうですが、いかにセンサーと脳が相互影響を与えているのかを示す研究です。

ここまでくると、五感のすべてが相互に影響を与えているという仮説が真実味を帯びてきそうです。

こういった研究が進んでいくと、仮想現実でより脳に現実社会と同じ刺激を与え続けると仮想と現実の区別がつかなくなりそうです。

やや映画マトリックスのようなディストピアを想像してしまいましたが、逆に五感の障害がある方へのリハビリまたは治療に使えないかなとぼんやりと考えました。

いずれにせよ、「仮想」や「現実」という言葉の意味合いを考え直す時代に突入していますね。

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