カイパーベルトの先にある新世界:我々は特殊な環境ではなかった
地球で最も離れた人工的な構造物は、宇宙探査機ボイジャーです。今回オリンピック閉会式に話題になったことを取り上げました。
ボイジャーは既に太陽系外に突入しており、最近だと久しぶりに姿勢を制御したニュースも見かけました。
50歳にあたる2027年までは運用を続けるそうです。過酷な労働環境で一番の働き者といえるかもしれません。
さて、そのボイジャーが脱出した「太陽系」ですが、実はその外縁部で新たな発見がありました。1つ記事を紹介します。
ようは、
太陽系外縁部で新たな天体が多く見つかった、
というはなしです。
まず、太陽系を取り巻く形状について整理しておきます。
真ん中の黄色い丸が太陽で、それを取り囲む大きな外心円が「カイパーベルト」と呼ばれる天体が密集した地域です。名前の由来は天文学者のジェラルド・カイパーからとっています。
このカイパーベルトにある有名な天体は、今では準惑星と再定義された冥王星です。余談ながら、下記「惑星の3条件」のうち3を満たさないから、というのが理由でした。
太陽の周りを回っていること
ほぼ球形の重力平衡状態になるための十分な質量を持っていること
自分の軌道近くから他の天体を排除していること
このカイパーベルト探査計画「ニューホライズン」から近年新しいことがわかってきました。
カイパーベルト領域にある天体をKBOと呼称します。
2018年に、アロコスという宇宙船がKBOと史上初めてランデブーに成功しました。そして2006年以降に263個のKBOを発見しています。
新たな発見とは、従来考えられていたベルトの境界線よりもさらに外側に11個のKBOを特定しました。これは宇宙探査機からだけでなく、地上からの観測(例:ALMA)でもそれを支持する結果が得られています。
これが意味しているのは、太陽系外惑星と太陽は思っていたよりも共通点があるということです。従来は、太陽系はカイパーベルトという(他の惑星系よりも)コンパクトに包まれた特殊な環境だったと思われていました。それがそうでもないということです。
この結果を好意的に解釈すると、太陽系外惑星でも我々の惑星系同様に生命が誕生する可能性が高まったということです。
現在系外惑星と思われるものが数千個の単位で見つかっています。過去の関連投稿を貼っておきます。
宇宙を研究するうえで今でもロマンをくすぐる「地球外生命探査」。我々の育った環境は思ったほど特殊でない、ことが分かっただけで若干うれしくなるのは私だけでしょうか?